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 一般チャットで行われた実際の「オンライン☆わたてにんぐ劇場」のチャットログはこちらから。
 スクリーンショットは星野ひなたさんご提供分と、うちの娘が撮影したものになりますので、チャット内容や環境設定は彼女たち基準となります。
 今回も保護者の皆様の反応(パーティーチャット)をチャットログに時系列で入れこんでおります。


 ※血盟チャット部分と一般チャット部分は基本ひなたさんのものを、パーティーチャットと一般チャット混在部分は娘のものを使用し、合成して1枚にまとめております。
 ※今回は「お題」で出されました3つのキーワードにつきまして、初出部分にピンクのアンダーラインを入れてみました。

イベント開始前、集合~ご歓談~お題発表時の様子
オンライン☆わたてにんぐ劇場 「聖夜の告白」 01 チャットログ
オンライン☆わたてにんぐ劇場 「聖夜の告白」 02 チャットログ
オンライン☆わたてにんぐ劇場 「聖夜の告白」 03 チャットログ
オンライン☆わたてにんぐ劇場 「聖夜の告白」 04 チャットログ
オンライン☆わたてにんぐ劇場 「聖夜の告白」 05 チャットログ
オンライン☆わたてにんぐ劇場 「聖夜の告白」 06~解散 チャットログ

 このところ恒例となってきておりますが、同盟員だけでなく「天使たちのお友だち」を主な対象とした即興劇を、人数制限のない一般チャット(白チャット)にて実施してくださいました。
 今回は天使たちのお友だちであるまいちゃんさんから「クリスマスのお話で、花ちゃんひなたちゃん乃愛ちゃんの3人でみやこさんにプレゼントの準備をするお話」というリクエストをいただいたそうです。

 主にうちの娘がチャットログにおいて解説しておりましたが、今回も先月発売された 「1st アルバム 「デリシャス・スマイル!」」  の白咲花さんのキャラクターソング「スイーツランド・パラドックス」
 という歌の歌詞、および歌の意味するところを引用含め最大限活用されているようです。
 この辺りの妙味については、今回から新設してみましたページ下部の 【 メイン記述者インタビュー 】  のコーナーにて迫ってみようと思います。

 また今回も天使たちの裏方のやり取りとなる血盟チャットを公開していただけましたので、天使たちの微笑ましい舞台裏も含めてお楽しみください。

 主な観客はエプイさん、わためさん、まいちゃんさん、うらりんさんとレム君、ハーブ・フォースさん、暁美ほむらさん、DOSANの娘、そして今回初参加してくださいましたちぇろーかさんでした。


 なお、今回もこの時の公演会の記事を【週刊うらりん】に掲載してくださったようです。 →  【週刊うらりん】めりー★くりすますでした
 いつも天使たちの公演を記事掲載していただきまして、ありがとうございます。
 記事では本記事の公演会のこと、ディオンにおける人狼一族と吸血鬼一族の事件にまつわる悲しいミステリー、オーレンでのクリスマス風景といった読み応えのある記事を参照できます。皆様ご一読くださいませ。




途中参加してくださいましたちぇろーかさん。ドワレイドではうちの爺やがお世話になりました。



 ■記載ルール■
  メイン記述者(進行者。今回は白咲花さん)が直接一般チャットに地の文を書き、他登場人物は「」で囲む形でセリフを書くことで物語を紡いでいきます。
  今回は一部原稿を用意したとのことですが、ほぼ彼女たちのアドリブで構成されています。


☆☆☆☆☆ イントロダクション ☆☆☆☆☆

── リンドビオルサーバのとある同盟では ──
── 気ままに天使たちが舞い降りては 一遍の物語を協力して紡ぎ 人知れず飛び去っていく──
── という噂がまことしやかに囁かれています ──

こちらの記事は「エンジェリック・ミスリル・ハーツ・フェデレーション」内「天使が舞い降りた」同盟において
天使たちの紡いだ物語を一般公開できる形で記録に残そうと考えまとめたものとなります。(天使たちの公開許可はいただいております)

「私に天使が舞い降りた!(わたてん!)」という作品世界から、こちらの世界に飛ばされてしまった天使たち。
戻る術が見つからない日々の中、お友だちの代理露店をこなしながら元気に楽しげに生活されています。
時折、突発的に始まるリアルタイムでの「物語の編纂(即興劇)」というお遊戯は、その完成度の高さ、内容の睦まじさにより
見る人に癒しと潤いを与えてくれるものとなっており、まさに【天使】のような存在となっています。


今回のメイン記述者は「白咲花」さん。
主なキャストは「星野みやこ」さん、「星野ひなた」さん、「姫坂乃愛」さん、「星野千鶴」さん、「白咲春香」さん、「姫坂エミリー」さんでした。



私に天使が舞い降りた! 公式サイト より、プロフィール画像はこちらになります。(コンパクトにまとめました)










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──        聖夜の告白        ──
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 ■作品イメージタグ■
  #私に天使が舞い降りた! #わたてん! #白咲花 #星野みやこ #星野ひなた #姫坂乃愛 #星野千鶴 #白咲春香 #姫坂エミリー #花みや #クリスマス #リクエスト #スイーツランド・パラドックス

 ■作品文体■
  一人称小説

 ■お題■
  「渾身」
  「愛情」
  「もにょ」  ※わたてん!において「胸がもにょっとする」とは、「一目惚れをする」「恋心を感じる」「ときめく」「胸キュン」といった意味合いを持ちます。恐らくわたてん!固有の言い回しかと思われます。

  ※オンラインでのわたてにんぐ劇場では、白咲花さんがメイン記述者に「3つのお題」を開始直前に出されます。
   メイン記述者もしくは参加者はランダムで出されるその「お題」を地の文やセリフのどこかに取り入れてお話をリアルタイムで紡ぎます。開始直前に発表される為、事前に考えておくことができません。
   今回は白咲花さんがメイン記述者となることから、開始直前に姫坂乃愛さんにお題選出と発表を依頼されていました。
   事前にお題を出され、じっくり考えた場合でもランダムキーワードを取り入れて物語を紡ぐことはかなりの高等技術ですが、毎回みなさんすんなりとオンラインリアルタイムでこなされているので驚愕しております。

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──    「聖夜の告白」    ──
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01


「ハナちゃんってさ」
「・・・ふぁに?」
「それ食べちゃってからでいいけど。いつも、ミャーさんから与えられてばっかりだよねぇ」
「・・・ふぉんなこふぉふぁいへほ」
「うん。先に食べちゃって☆」

 お姉さんとのいつもの撮影を終えて、リビングでお姉さんの作ってくれたサングァチグァーシ(三月菓子)というお菓子をほおばっていた時のこと。私が食べているところを頬杖をつきながら眺めていたノアから声をかけられた。
 今日の撮影はシスターの服だった。お姉さんは「そろそろクリスマスだし・・・大丈夫、かわいいよ!」とか言い訳じみたことを言っていて、いつもながらおかしな人だなって思う。嫌いじゃないけど。
 食べちゃってからでいいと言うノア。でも、ここにある残り5個を食べきるまで待たせたらさすがに怒るよね。
 私は手にしていたお菓子を食べきると、ノアの方に体を向けた。

「それにしても、おいしそうに食べるよねぇ。食レポの仕事とか人気でそう☆」
「そんなわけないでしょ。それより、さっきのってどういうこと?」
「どうもこうも、そのまんまでしょー?」
「これは交換条件で仕方なくやってるだけだから。私はお姉さんのお菓子を食べられて満足。お姉さんは私を撮影できて満足。それでいいじゃない」

 そう言ってみたものの、ノアは納得してないようだった。まったく、私のことは放っておいて、愛しのひなたのところに行けばいいのに。
 そのひなたの方をちらと見てみると、お姉さんと仲良くさっきのお菓子を食べていた。

 ああ、そっか。ノアはあの二人の間に入れないって思ってるのかな。それで私のところに来たんだろう。

「みゃー姉、今日のこれもすごくおいしいぞ!」
「そう? よかったぁ」
「でもこれ、前に作ってたばくだんいわみたいなのと同じ味するぞ」
「ばくだ・・・ああ、サーターアンダーギーね。材料同じだし、同じ味のお菓子なんだよ」
「そうなのか! でもこっちのほうが細長くて、食べやすいな!」
「うん。花ちゃんもこっちのほうが食べやすいかなって・・・」

 お姉さんはそこまで言うと、ほっぺを赤くさせてうつむく。
 そして、私の方をちらと見ると、更にほっぺを赤くさせて目をぎゅっとつぶっていた。まるでりんごみたい。
 なんだかそんなお姉さんが、ちょっとだけ・・・。
 ちょっとだけ、なんだろう?
 少しずつ、分かるようにはなってきている。お姉さんのこと。そして、お姉さんの考えてること。
 まだ分かっていないのは、たまに感じるこの気持ちの正体。なんなのかな、これ・・・。
 私は胸に手を当てて、この謎の気持ちのことを考えてみる。でもやっぱり分からないや。

「・・・ハナちゃんもまだまだオコサマだねぇ」
「な ノアだって同い年でしょ・・・。それで、ノアは何が言いたいの?」

 よくぞ聞いてくれました! と顔に書いてあるようなノア。ぴょこんとした前髪をフリフリしながら渾身のドヤ顔で言い放った。

「にゅふふーんω アタシたち3人でミャーさんのクリスマスプレゼントを作って贈ろうって提案☆」
「はあ・・・」
「あれぇー? なんか乗り気じゃない?」
「3人って、まだそれひなたに話してないでしょ?」
「ハナちゃん。ミャーさんが喜ぶことをヒナタちゃんが反対すると思う?」

 ノアは私の肩にポンと手を置いて、納得するしかないことを畳みかけてきた。
 別に、お姉さんが喜ぶことなら私もしてあげたいって気持ちはある。いつもお世話になってるし。それ以上にお世話してる気もするけど。
 お姉さんは言わなくてもクリスマスケーキを作ってくれるだろう。私にとってはそれだけで十分。サンタコスとかさせられるんだろうけど。
 クリスマスっていう特別な日に、お姉さんに私からプレゼントをしたら、いつも以上に喜んでくれるのかな・・・。

「・・・うん。いいよ。どういう感じのを作るの?」
「よーし。それじゃ、あとでヒナタちゃん含めて作戦会議だネ☆」

 ノアはいつものとびきりの笑顔で、ひなたのほうに走っていった。そしてお姉さんとノアでひなたを挟むような形で座り、ひなたの腕をぎゅっと抱きしめていた。
 私もあのくらい、大胆にできたらな・・・。
 でも、お姉さんにあんなことしたらきっとお姉さん倒れるし。無理だな。
 それに私、そこまでお姉さんのこと・・・。

「ハナちゃーん、2階のヒナタちゃんのお部屋集合だよー☆」
「うん。今いく」

 私は残り5本のサングァチグァーシの乗ったお皿を手に取ると、赤い顔をしたままのお姉さんの前を通って2階へと上っていった。

02

「どうしよう・・・」

 2階のひなたの部屋でノアたちと相談した結果、「それぞれがひとつ作って、ひとりずつプレゼントする」ということになった。
 私はてっきり、3人でひとつのものを作って贈るんだとばかり思っていたから、急に具体的なプレゼントを考えないといけなくなってしまった。

「せっかく贈るんだから、ミャーさんの喜ぶものがいいよねー☆」
「おう! みゃー姉ならなんでも喜んでくれるけど、ちゃんとしたのがいいな!」

 二人の言うことももっともだ。お姉さんなら確かになんでも喜んでくれるとは思うけど、年に一度の特別な日のプレゼントだからちゃんとしたものを贈りたい。
 でも、お姉さんが喜ぶことっていったら・・・いつもやってるようなコスプレ撮影会くらいしか思い浮かばない。困ったな・・・。

「こういうのはネ、アイジョウを込めて作るとじょうずにできるんだよー☆」
「そうなのか! それならまかせろー!」

 愛情かぁ・・・。
 そういえば前に、かのんがお姉さんにクッキーの作り方を教えてもらっていたときに、二人のクッキーを食べ比べたことがあった。
 同じレシピで作ったものだけど、やっぱりお姉さんのクッキーの方がおいしかったって素直に伝えたら、かのんがこう言ってたっけ。


────それはそうだよー。おねぇさんは、花ちゃんのために愛情込めて作ってるんだから────


 きっと、今ノアが言っていることもそれと同じことなんだろう。そこまではなんとなく分かる。分かるけど・・・。

 私が、お姉さんに、愛情をこめてなにかをする。なにかを作る。なんてこと今までなかった気がする。
 だって、そんなの恥ずかしいし。お姉さんはきっと倒れるし。倒れなくても、お姉さんが暴走したら困るし。うん。
 でも────。

「ハナちゃん、大丈夫そう?」
「ノア・・・。すぐには思いつかないから、ちょっと考えてみるね」
「うんうんー。ミャーさんのこと、ちゃんと考えてみてネ☆」

 考えるのはプレゼントのことだよ。お姉さんのこと考えたって仕方ないでしょ。
 そう言おうとしたけど、ノアはいつもの小悪魔的笑顔でひなたのほうに行ってしまった。

「ヒーナタちゃーん☆」
「お、のあー! あはは、くすぐったいぞー!」

 またいちゃついてる。ああやってじゃれあってると二人ともこねこみたい。
 サングァチグァーシも食べきっちゃったし。ちょっとお手洗いにも行きたいし。二人の邪魔してもよくないし。
 私はお皿を持って1階へと降りていった。

03

「ごちそうさまでした。食べやすくて、おいしかったです」
「あ、花ちゃん。よかったぁ・・・。おそまつさまでした」

 お皿をリビングの流しに置いて、ソファに座って雑誌を読んでいるお姉さんにおいしかったことを伝える。
 お姉さんもこちらを向いてくれて、すごく嬉しそうな笑顔になってくれる。
 こういうとき、胸の奥がなんだか・・・。なんだろう、もにょっとする感じがする。
 これまでにもお姉さんがきれいにおめかししてる時とか、私にやさしく微笑んでくれた時とかにも感じたことがある、この変な感じ。
 一体、これはなんなんだろう。嫌な感覚じゃないんだけど・・・。

「・・・お手洗い、お借りします」
「はーい」

 勝手知ったるお姉さんの家。お手洗いに入って用を足して、洗面台で手を洗う。ついでに鏡に映る自分の顔を見てみる。
 鏡の中の私は、ほっぺがほんのり桜色になっていて、さっきのお姉さんほどじゃないけど十分顔が赤いような気がする。
 ちょっとだけ、鼓動も早い気がするし、これはなんなのかな・・・。
 さっきのやさしい笑顔のお姉さんを思い浮かべると、ほっぺの桜色が濃くなって、胸がもにょっとする感覚になる。
 なに・・・? これ、なんなの・・・? 風邪みたいなものなのかな。
 これにはお姉さんウィルスって名前をつけておこう。うん。

「はぁ・・・。やっぱりまた、お姉さんのせいですね」

 そう笑顔で呟いて、お手洗いから出てお姉さんのところに戻る。

「おかえりー、花ちゃん。ひなたたちは上で何をしているの?」
「えっと・・・」

 お姉さんのプレゼントのことって、やっぱり秘密なんだよね。ノアに口止めはされてないけど、サプライズの大好きなノアのことだからお姉さんには内緒にしておこう。

「・・・二人がいちゃついていたので、降りてきました」
「いちゃ・・・!? えぇ、あの二人そんなに進んでるの・・・?」
「ふふ 妹に先を越されましたね」

 ショックを受けてるお姉さんがかわいくて、つい追い打ちをかけてしまう。
 こんなお姉さんに、誰か特定の恋人とかいるわけがないから、ついそんなことを言ってしまったけど。
 でも、お姉さん見た目はきれいだから、気づいてないだけでファンとかいるんじゃないかな・・・。松本さんみたいな感じの。
 そんなことを考えていたら、さっきとは違う感じで胸がもやっとしてきた。もう、今日はなんなの・・・?
 仕方がないので、私もソファに腰掛けてお姉さんによりかかってみた。

「はっ 花、ちゃ・・・!」
「・・・少し、このままでいさせてください・・・」

 お姉さんの甘いにおい。言葉にはしないけど、トクベツに感じてる。
 でも、それはお姉さんには秘密。そんな恥ずかしいこと、面と向かって言えるわけがないし。
 お姉さんに密着して、こうして甘いにおいを感じていると、それだけでさっきのもやっとした気持ちが消えていく。
 ちょっと私、お姉さんに影響されすぎじゃない? はぁ・・・。
 これにはお姉さんメディシンと名前をつけておこう。うん。

「は、花ちゃ・・・。どう、したの・・・?」
「・・・お姉さんは・・・」

 お姉さんは、私のこと、好きなんですか?

 ・・・やっぱりそんなこと聞けない。恥ずかしい・・・。

 真っ赤になってるはずの自分の顔を、お姉さんの左腕にうずめながら、少し前にあったことを思い返してみる。
 あの時、お姉さんはケーキと引き換えに私のほっぺを触らせてほしいと言っていた。そのくらいなら、と思って触らせてあげたけど。
 その後、お姉さんはエスカレートして「ほっぺにちゅーしてほしい」って言い始めた。さすがにどうかと思って即座に防犯ブザーのひもを引っ張ったのを覚えている。
 やっぱり、いろいろ考えてもよく分からない。お姉さんは、私のことどう思っているんだろう。なんとなくだけど、普通の友だち関係とは違うような気がする。

「・・・私のこと、どう思っているんですか?」
「えっと・・・。その、花ちゃんは、すごくかわいいよ?」
「そういうこと聞いてるんじゃないです」
「ええっ? じゃあ、その。本当、天使みたいだなーって・・・」
「・・・・・・」

 お姉さん、また逃げようとしてる。こういうところはどうしても変わらないみたい。
 お姉さんは、普通の友だちにも「ほっぺにちゅーしてほしい」って言うんですか?
 ノアにも、同じこと言うんですか・・・?

「・・・もういいです」
「あっ・・・」
「クリスマスの時に、もう一度聞かせてくださいね」

 私はそれだけ伝えて、ひなたの部屋まで駆け上がっていった。

04

「お姉さん・・・」

 今は夜。おふとんの中で、寝付けなくてひとりもぞもぞしている。
 あの後、ひなたの部屋に戻ったら二人とも普通にプレゼント作りに取りかかっていた。
 よかった。どこかの世界線みたいにノアがひなたを押し倒してキスしたりしてなくて。一応、ノックはしたけどね。
 いろいろ考えた結果、私はお姉さんが私にプレゼントしてくれた花型の髪飾りとおそろいのネックレスを作って贈ることにした。
 二人ともすごくいいと言ってくれて、型紙を作るのも手伝ってくれて、なんとかきれいなものが完成した。ひなた、ノア。ありがとう。
 あとはこれをクリスマス当日に渡すだけ。
 だけど・・・。

「私のことは、やっぱり「妹の友だち」、なのかな・・・」

 お姉さんとは、お菓子で始まった。
 私がひなたの友だちとしてお姉さんの家に来た時に、嫌々お姉さんの指定するコスプレを着て、撮影されて、その対価としてお菓子をもらった。
 そのお菓子がこの世のものとは思えないくらいおいしくて。こんなお菓子が食べられるなら、多少恥ずかしいことでも我慢しよう。最初はそこから始まったんだ。
 そんな損得勘定の上に成り立ってる私たちの関係。それだけと言ってしまえばそれだけなんだけど・・・。

「どうして・・・、私だけ・・・?」

 前にノアが「ミャーさんもともとハナちゃん以外にムリヤリ着せようとしないから」と言っていた。
 確かによく観察しているとその通りで、ひなたはお姉さんが作った服だから。ノアはかわいい自分がもっとかわいくなるから。こよりはその場のノリで。という理由でコスプレしているように見える。
 かのんは恥ずかしくて着なかったこともあったけど、自分を変えるきっかけとしてリリキュアのコスプレをみんなと一緒にしたことがあった。

 みんな、コスプレをする理由は人それぞれなんだ。
 でも、それじゃあ私は?
 私だけ、お姉さんにとっては「絶対コスプレしないといけない対象」ってことになってる。むしろ、ノアの言葉通りなら「私がメインでみんなはオマケ」みたいなことになってしまう。
 私はコスプレをしないとお姉さんがお菓子をくれないから。そう、お菓子という対価の為にコスプレをしている。最初は本当、だたそれだけだったんだ。

「・・・なんだか、さびしくなってきた・・・。ぐすっ・・・」

 ねぇ、お姉さん。どうしてなんですか?
 どうして私だけ、そんなにこだわるの?

「おねえ・・・さん・・・・・・」

 目を閉じるとふわりふわりと夢の世界におちていく。
 こういう時、いつもお姉さんの顔が浮かぶ。
 嫌いじゃないけど・・・。なんでお姉さんなんだろう?
 ずっとそんな風に考えていた。

 スイーツランドの夢の世界には、お姉さんの作ったかわいらしいお洋服とおいしいお菓子がいっぱい。
 でもその夢には、お姉さんは今まで一度も出てきてくれたことはなかった。

 お姉さんにお洋服を着ているところを見てもらいたくて、お姉さんと一緒にお菓子を食べたくて。
 私はいつお姉さんが来てもいいように、お姉さんのお洋服を身に着けてお菓子のお城で待っている。

 お姉さんがここにいたら、「かわいい」とか言ってくれるのかな────。

 今日も私は、そんなキラキラと輝く寒々しい夢の中に、ひとりさびしく飲み込まれていくのだった。

05

「どういう順番で渡すんだー?」
「ハナちゃんはトリで。んー、じゃあヒナタちゃんからにしよう☆」
「ちょっと、なんで私が最後なの?」

 1224日、クリスマス会当日。
 そういえば、クリスマスって1225日のはずなのに、どうして1日前にやることが多いんだろう。クリスマスイブって名前がついてるのは知ってるけど・・・。
 私たちはひなたの家に集合すると、ひなたの部屋で簡単な作戦会議をしてプレゼントを手渡す順番とかを決めていた。
 ちなみに、今日はこよりとかのんは別行動。去年のクリスマス会は一緒だったけど、今年は二人きりで過ごすんだと言っていた。
 こよりとかのんもいいコンビだなって思う。かのんの負担がいつもすごそうだけど、かのんがそれで幸せならそれでもいいと思う。

「なんでって・・・。そりゃーミャーさんが一番喜ぶの、ハナちゃんからのプレゼントに決まってるでしょー?」
「・・・そうなの?」
「むむむ、そうかもしれないけど、みゃー姉のこと一番好きなのは私だからなー!」
「はいヒナタちゃんどーどー。だからネ、ハナちゃん最後にしないとバランス取れないんだよー」

 私はお姉さんのこと、対等なお友だちだと思ってる。そして、今はそれ以上に大切な存在になってきているのも確か。
 だけど、お姉さんは私のことを腫れものを触るように扱うし、もしかしたら友だちだとすら思ってないのかもしれない。

「・・・そんなの、分からないよ・・・」
「・・・ハナちゃん?」
「お姉さん、私のことどう思ってるか、ぜんぜん分かんないよ・・・」
「・・・・・・」
「ただのコスプレの着せ替え人形くらいにしか思ってないかもしれないんだよ? それなのに」



ふわっ


 なにかとてもやわらかいものに抱き締められる。目の前が金色一色になる。
 ああ、ノアだ。ノアに抱き締められてるんだ。
 なんで? 今の私、すごく醜いはずなのに・・・。

「ハナちゃん」
「ノア・・・」
「ミャーさんって、いつもいつも、一番大事なことを言葉にしない人でしょ?」
「うん・・・」
「それでも知りたいなら、ムリヤリ言葉にしてもらうか、それとも?」
「・・・それとも?」

 ノアは少しだけ間をあけて、私の両肩に両手を乗せる体勢になった。
 そして、いつものとびきりかわいいウィンクで勇気づけようとしてくれた。

「言葉じゃない形で感じるしかないと思うのアタシ」
「言葉じゃない・・・」
「うん。ミャーさんの手でも腕でもいいから、ハナちゃんの想いを載せた手で触れてみて?」
「そんなことしたら、お姉さん絶対逃げるし」
「今日はクリスマス。トクベツな日だから、ミャーさんもきっと大丈夫☆ 信じてみようよ、自分の気持ちを」
「自分の、気持ち・・・」

 それだけ言うと、ノアはおろおろしているひなたの方に歩いていって、ひなたのほっぺに軽くキスをした。
 そして、ひなたと腕を組みつつ、今まで見たことのない表情で私のことを見つめてくる。慈愛に満ちた、私を見守るような、大人っぽい顔で。
 ああ、そういうことか。「ほっぺにちゅーをする」って、やっぱりひなたとノアくらいの関係じゃないとしないことなんだよね。

 それをお姉さんは私にしてほしいって言った。つまり、そういうことなんだよね。

「ありがとう、ノア。やっと分かった気がする」
「ううん。ハナちゃんこのごろツラソウだったから。すっきりしたネ☆」
「のあ、はな、どういうことなんだ?」
「ヒナタちゃんには、今夜ゆっくり教えてアゲル☆」

 ああ、ノアは今夜ひなたと一緒に寝るつもりなんだ。明日の朝、冷たくなってないといいけど。

「・・・ひなた、ちょっといい?」
「お? どうしたんだ、はな」
「あのね、あとでプレゼント渡す前に、お姉さんの持ってるアレをこっそり取ってきてほしいの」
「おー、アレか! まかせろ!     それで、アレってなんだ?」
「えっと・・・」

 作戦会議を終えた私たちはリビングまで降りて、お姉さんたちが準備しているクリスマスパーティーのお手伝いをすることにした。
 リビングにはお母さんたちの姿もあった。そういえば今日はお手伝いで来ているんだった。

「はーい、みなさーん。メリークリスマスでーす!」
「あ、ママ! メリークリスマス! どうどう? 今日のアタシのお洋服」
「今日もぐっどでーす!」
「どのくらいカワイイ?」
「ゴッドですね!」

 そんな姫坂家の日常を眺めながら、私は自分の気持ちを確認する。
 私は、お姉さんのことが好き。
 夢に見るくらい、お姉さんのことが好き。
 大好きなお菓子があっても、お姉さんがいないなら意味がないと思うくらい、お姉さんのことが好き。
 いつもは恥ずかしくて考えることすらできないこの気持ち。でも今日はトクベツな日だから、すべての制限を外して最後まで考えてみる。

 そして改めて考えはじめてみたら、止まらないくらいお姉さんのことが好きだった。
 なんだ、分かってしまえば単純なことだったんだ。私はお姉さんのことが好き。ただそれだけだったんだ。
 私はお姉さんを見てみる。お姉さんはクリスマスパーティーだというのにいつものジャージのままで。
 でも、そんな変わらないお姉さんのことが好きなんだと今なら分かる。
 さっきまで悩んでいたのがうそのように、今はすごく晴れ晴れとした気持ち。
 少しだけ微笑んでいたら、お姉さんの隣にいたお母さんと目があった。

「花ちゃん。今日は大丈夫そうね」
「お母さん・・・」
「このところ、ずっと悩んでいたみたいだったから。解決したのね。よかったわ」
「なにも言わないで、ごめんなさい」
「いいのよ。花ちゃんが自分の力で乗り越えたんだから、お母さんもすごく嬉しいわ」
「うん。ありがとう、お母さん・・・」

 お母さんに頭をなでてもらって。知らないうちに、お母さんたちに心配かけていたんだなと気づく。
 反省していると、ひなたのお母さんがパンパンと手を打ち鳴らした。

「はいはい。みんな、パーティーの用意できたわよ。席についてちょうだい」
「おおー、いよいよか!」
「いよいよだねぇ」
「・・・・・・」

 こうして、クリスマスパーティーが始まった。

06

 お母さんたちが作ってくれたオードブル料理をいただいて、メインとなるお姉さんが作ってくれたクリスマスケーキをみんなでいただいて。
 まさに至福の時間を過ごしていた。おいしい・・・!
 そして、みんなお腹も落ち着いたところでプレゼントの手渡し会が始まった。
 もちろん、これはひなたとノアと私しか知らないこと。当然みんな驚いていた。

「oh! ミヤさんうらやましいでーす。みんなからの愛をひとりじめですねー!」
「うふふ、みやこちゃんよかったわね」
「みやこ、よかったじゃないか。みんな、みやこの為にありがとうねぇ・・・」

 お姉さんのお母さんがハンカチを目に当てている。そこまで? と思うけど、お母さんの気持ちも分かる気はする。20年間、お友だちを招いてのこういうシーンがなかったんだろうなと思うと、私もうるんできてしまう。
 打ち合わせ通り、ひなたから始まって、次にノア。二人ともお姉さんはそれ以上ないほどに喜んでいた。お姉さん、よかったですね。

「みゃー姉! 大好きだぞ! これ使ってくれー! 手作りのメガネ拭きだぞ!」
「ひなたー ありがとうー! 大事に使うからねぇ」
「にゅふふーんω ミャーさん、アタシからはこれ。もう持ってるかもだけどよかったら使ってネ☆」
「わー すごい。これも手作りなの? ありがとう。大事に使うよー」

 ひなたはメガネ拭き、ノアはメガネケース。どっちも手作りとは思えないしっかりしたものだった。二人ともいつのまに・・・。
 そしてついに私の番になった。私はさっきひなたに頼んでおいたアレを身に着ける為に、一度リビングから出て脱衣所まで移動する。
 これは、そう。お姉さんが私に、一番最初に着せたコスプレ。ゴシックロリータと言われる、あの黒っぽいお人形さんのお洋服みたいなもの。
 これを身に着けて、お姉さんに喜んでもらいたい。その一心だった。
 でも・・・。

「・・・あれ? これ、どうやって着るんだっけ・・・?」

 このタイプの服は、今までひとりで着たことがなかった。ちょっと複雑なものはお姉さんかひなたたちに着つけを手伝ってもらっていたから。
 これはものすごく本格的に作られていて、それが裏目に出てしまった。
 どうしよう。このままだと時間が開きすぎて怪しまれちゃう・・・。
 その時だった。

「ハナちゃん。手伝うから、ぱぱっと着ちゃおう☆」
「ノア・・・!」
「こんなことだろうと思ったんだー。ミャーさんに一番最初に着せられたものなんでしょ? これ」
「う、うん・・・」
「二人のオモイデの品ってとこだネ☆」

 ノアはそんなことを言いながらも、手は最大のスピードで私に着つけていく。それこそ、お姉さんがするより速いくらい。
 そして、ノアの動きにみとれていたらあっという間に着つけが終わっていた。

「ホラ、ハナちゃん。鏡見て?」
「すごい・・・」
「オイロナオシは終わったよー。でも、オイロナオシして黒って、イミシンだネ☆」
「・・・?」
「さ、ミャーさん待ってるよ。いこ!」

 私はノアにお礼を言う時間もなく、ノアに引っ張られながらリビングに戻る。
 みんなの視線が一気に私に集まる。でも、いつもコスプレ撮影会をしていたこともあって、このくらいの人数なら平気になっていた。これもお姉さんのおかげかな?

「わ・・・ 花ちゃん、かわいい・・・!」
「ベリーキュートでーす! 黒髪ロングにぴったりですねー!」
「へ・・・ なんだいお人形さんみたいじゃないか。すごくかわいいわね」

 お母さんたち、さすがに恥ずかしいからちょっと静かにしてて・・・。

 一番見てもらいたい人、お姉さんの方を向く。すると────。

「────っ!? ・・・え・・・? は、花ちゃ・・・」
 真っ赤になって思い切り動揺していた。うん。こうなるだろうとは思っていたけど、やっぱりそうだよね。
 こうなったお姉さんは返事のないひげろーの人形と同じようなもの。あとは私の方でリードしないと。

「お姉さん」
「ひゃ、ふぁい!」
「どう、ですか? 一番最初にお姉さんが私に着せてくれたものですよ」
「う、うん・・・。あ、いや、そのぉ・・・」
「お姉さん。私からのプレゼントです」

 私は椅子に座っているお姉さんに近づくと、手作りのネックレスを取り出す。そして、お姉さんにペンダント部分が良く見えるように目の高さまで掲げる。
 お姉さんはそれを見て、目をうるませてくれた。ああ、お姉さんからもらったヘアアクセとおなじだって、分かってくれたんだ。嬉しい・・・。
 お姉さんの目の前まで近づいて、ネックレスをお姉さんの首にかける。その時、両腕をお姉さんの首の後ろに伸ばして、抱きつくような形になってみた。
 そして────。


チュッ


 誰にも見えないように、お姉さんのほっぺにちゅーをしてみる。お姉さんのほっぺが燃えるように熱いって、くちびるだけでも分かるくらい。お姉さん大丈夫かな・・・。
 ネックレスを着け終わって、ちょっとだけ離れて。
 涙が流れているお姉さんのほっぺにそっと触れながら、お姉さんを見つめてこう伝えてみる。

「お姉さん。いつもありがとうございます。その、お菓子とか」

「私、お姉さんと、なんでもない話をしながら、これからも一緒に同じ時間を重ねたいんです」
「前に約束した通り、いつまでもそばにいてくださいね」

 お姉さんは感極まって何も言えなくなっていたけど、涙をこぼしながら、私の手を取り、必死に頷きながら私の目を見つめてくれた。

「は、花、ちゃ・・・。私こそ、ありがとう・・・。 こんな私だけど、これからもどうか、よろしくね・・・!」
「こんなお姉さんだからいいんですよ。これからも変わらずいてくださいね」

 ────思えば、この一年半の間。ほぼ毎日顔を合わせていたお姉さん。
 最初はどうして私にこんなにこだわるんだろうって、不思議で仕方がなかった。
 でも、同じ時間を過ごしていくうちに、お姉さんのダメなところとか、まっすぐなところとか、意外ときれいなところとか。そういうところが良く見えるようになってきて────。
 今は、ダメなところはまだまだあるけど、それでもそばにいてほしい。私にとってそう思える人になった。

「は、花ちゃん・・・!」
「お姉さん!」

 そう。こうやってみんなの前で抱き合うくらいには、気持ちが通じ合えているんだと思える。
 自然と私も涙がこぼれる。ああ、幸せって、こういうことを言うんだろうな・・・。

「ミヤさんもてもてでーす!」
「花ちゃん大胆にいくのねー」
「小学生にアタックされて・・・。まったくみやこは」

 そんなお母さんたちの声も気にならないくらい、お姉さんの甘いにおいに夢中で。私は最後に、お姉さんの耳元でこうささやいて、この甘くて甘いお話を閉じることにした。






────お姉さん、かわいいですよ────





──────────────────────
──    「聖夜の告白」   完   ──
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たねあかし



集合写真、およびチャットログにもありますように、今回は「姫坂エミリー」さんがわたてにんぐ劇場にデビューされました。




プロフィール画像はこちらになります。(自作しました)




「05」のクリスマスパーティーから登場したエミリーさん。原作単行本寄りのセリフ回しで非常に再現度高いですね。
「姫坂家の日常」という原作4コマのタイトルにもなっている、5巻第42話の再現(今回のゴッドノアのくだり)もしていただき、非常にサービス精神旺盛でありがたく思います。


















【 メイン記述者インタビュー 】

今回のメイン記述者である白咲花さんと星野みやこさんに、公演【聖夜の告白】について自由気ままに語っていただきました。


インタビューイー:白咲花さん 星野みやこさん
インタビューアー:DOSAN

──本日はお忙しいところ、ご参集いただきましてありがとうございます。

い、いえ・・・>ミ
お父さんこそ年末で忙しいのに・・・。 というか、お姉さんしっかりしてください。
は、花ちゃん、手、つないでて・・・>ミ
まったく。しかたのないお姉さんですね。  ・・・これでいいですか?
ありがとう~>ミ
(お姉さんの手、あったかい・・・)



■お話の「骨格」の作り方について

──それでは早速。あえてざっくりとした聞き方となりますが、今回のお話の骨格(プロット)をどのように作られたかを教えていただけますでしょうか。

前回の松本さんたちのお話で、新しいキャラソンの存在はみんなに知ってもらえたと思いましたので、私のキャラソン「スイーツランド・パラドックス」に入っている印象的なフレーズを抜きだして、それに肉付けをしてお話を作りました。

──ほうほう。お話を作り上げてから、歌のフレーバーを取り入れたのではなく、その逆と。

そうですね。今回はお姉さんとの甘いお話にしてみたかったので、甘いイメージを持つキャラソンから「この言葉いいな」と思ったのをピックアップして、順番入れ変えたりしてみて、大雑把な話の筋を作りました。特に「歌詞」として載っていないところは絶対入れようと思ってました。
ぱっと思い出せる歌詞は・・・

【少しずつ分かるようになってきているよ あの人のこと 考えてること まだ分かっていないのは たまに感じる気持ちの正体】
【目を閉じると ふわりふわり 落ちる夢の世界 いつも(なんでだろう?) 途中で(嫌いじゃないけど・・・) あの人の顔が浮かぶ】
【あの人がここにいたら「かわいい」とか言ってくれるのかな?】
【私の好きなあの甘い匂い 言葉にはしないけど トクベツに感じてるんです】
【なんでもない話して これからもおんなじ時間重ねたい いつまでもそばにいて下さいね】
【────お姉さん、かわいいですよ────】  ←これは歌詞に載ってないフレーズです。

──非常に面白いプロットの作り方だと思います。花さんの最初のキャラソンである「シュガーコート・ドリーム」も同じくみやこさんへの仄かな想いが歌われている微笑ましいものでしたが、今回のように物語の骨格として取り入れることはなかったですよね。何かみなさんの中で方針転換などがあったのでしょうか。

最初にリリースされたみんなのキャラソンをよく聞いてもらうと、ひなたの以外具体的な人名を言ってないことに気づくと思います。私のも「あの人」と濁していたりしていて、作品を知っている人なら「お姉さんのことかな」と分かると思いますけどね。

──アニメ10話の「有名店のシュークリームを買いに行く」エピソードがシュガーコート・ドリームではそのまま歌われていましたが、確かに「あの人のお菓子がいいな」という歌詞でしたね。

それが、今回のデリシャス・スマイル!に収録されているみんなのキャラソンにはそれぞれ具体的な名前が出てきています。はっきり出てないのはノアのだけかな・・・。かのんとこよりもそれぞれの名前を呼んでいますし、私も「お姉さん」とはっきり出しています。ただ、これはそれぞれ「歌詞として載っていない」ところなので、なにか意図的なものを感じますけどね。ともかく、新曲のキャラソンではそれぞれ関係性がはっきりしてきていて、私たちとしても「公式のお墨付き」として関係性の方向を決めてもらえたと感じました。なので、キャラソンを軸にお話を作ってみようと思ったのもあります。
あと、あれだよね。みんな悩んでたもんね。
実はそうなんですよね・・・。原作単行本は順調に出ていて8巻まできていますが、アニメについては新アニメプロジェクトが発表されたものの、恐らく2期ではないと思うので。「アニメ後の私たちの関係性」について、みんな悩んでいました。

──確かにみなさん、際どい立ち位置にいらっしゃいますよね。「オリジナル」としてどこまで関係性を進めてよいのかと、大いに悩まれることはあるでしょうね。

はい。ふわふわしたところをキャラソンで固めてもらえたので、少し楽になりました。私で言えば、思っていた以上にお姉さんに心を許しているな・・・というか、頭の中がお姉さんでいっぱいになってることが分かりましたので、今回のような甘いお話もありなのかなと思えました。
花ちゃんって、すごく厳格なところあるよね。 あ、あのね? 子ども扱いしてるんじゃなくって、そのぉ・・・
・・・言いたいことは分かりますよ。個人的に、原作から離れすぎちゃったらそれはもう「わたてん!」ではなくなっちゃうって恐れを、ずっと持ちながらやっているので。プロ意識だとか言いたくないですけど、私たちは「オリジナル」なんだから、「原作そのまま」であるべきなんです。そこが、ファンメイドの二次創作小説とはきっちり線を引くべきところかなって。
うん。そうだね。だからね、今回のとか「天使の涙の、その先に。」みたいな花ちゃんメインのお話で、甘いの作ってくれたのはすごく嬉しいんだ。ありがとう。
な お、お姉さん。そういうの禁止で。恥ずかしい・・・
そういうのって?
そういうのです!

──おやおや(苦笑) ごちそうさまです。



■今回の「聖夜の告白」において留意したポイントなど

──特殊なプロットの作り方をされていることはよく分かりました。ありがとうございます。それでは続きまして、今回の公演で留意したポイントをお願いいたします。

今回のチャットログには残ってないんですけど、お姉さんにお願いしていたことがありました。それは「原作そのままのお姉さんでいてください」ということ。
そうだったね。すごく悩んだけど・・・あれでよかったのかな。
はい。あれで正解ですよ。開始前の1~2時間ほど、ずっとノアとお姉さんと3人で最後の最後まで煮詰めていたところでした。

──ほうほう。それは、原作単行本そのまま、という意味でしょうか。具体的にどのような箇所にそれが現れていたのでしょう。

単行本とアニメは味付けが違うんですけど、そうですね。単行本のイメージに近いかもです。ダメなところは救いようがないほどダメなお姉さん。それをしてもらいたかったんです。
・・・胸が痛い>ミ
えっと、例えば、私がそう釘をささなかったとしたら、お姉さんはきっと「機転を利かせて」私が過度に落ち込まないようなやさしいフォローをどこかで入れると思うんです。
うん。入れてたと思う。でも、それを入れちゃダメってことだったんでしょ?
そうです。具体的に言うと、03のやり取りは、たぶんどっちのお姉さんでも変わらなかったと思います。あそこは「にぶくて朴念仁なお姉さん」を出すところだったので、あれはあれでいいんです。
「そういうこと聞いてるんじゃないです」 って花ちゃんが言ってたところだよね。
はい。でも06のところの、特に私がコスプレをしてリビングに戻ってきてから後のところは「いつものお姉さん」だと「機転を利かせて」しまって、会話中に「いい雰囲気になってしまいそう」だなと思ったのでそこを抑える為にお願いしていました。

──ふむ。客観的に見るとそこのパートは「いい雰囲気となり大団円」となるべきと思うのですが、そこであえて「みやこさんの機転を封じた」のは何故でしょう。

その、そこは・・・恥ずかしいんですけど、私は、ダメなお姉さんも、まるごと全部大好きですよ。ってところを強調したかったんです。コスプレして「どうですか?」と聞いても、お母さんたちの反応が気になって「いや、そのぉ・・・」ってはぐらかそうとするダメなお姉さんだったり、私が必死に告白しても、何もしゃべれなくなってるお姉さんとか。この辺り、たぶん「いつものお姉さん」だと原作とは違って最初のコスプレだと気づいて喜んでくれたり・・・ともかく、そうなりそうだったので阻止したということです。
あの時の花ちゃん、かわいかったし、かっこよかったよ? ダメな私を上手にダシに使ってくれて、おかげで花ちゃんのしっかり加減が際立ってたと思う。
あ、ありがとう、ございます。・・・やっぱり恥ずかしい・・・

──なるほど。原作にありがちな「みやこさんのダメなところ」をあえて出してもらい、それをも含めてまるごとみやこさんが好き。と表現したかったのですね。「機転を利かせるやさしいお姉さんだから好き」と誤解されないようにと。

は、はい。そう、ですね・・・(真っ赤)
(花ちゃんかわいい~~! カメラカメラ)



■フリートーク

──ここまでは私からの質問にお答えいただいておりましたが、以降は自由に話してみましょう。私としてはノアさんの活躍は今回も目覚ましいものがあったと思います。

そうなんです。今回、私のパートは原稿用意しましたけど、ひなたとノアはいつも通り原稿なしで「その場の話の流れ」に最適化した即興を重ねてくれました。いつもあの二人は別格と言っていいくらい「オリジナル」そのものだと思っています。
うん。ひなたもすごいけど、ノアちゃんは特にそう。こよりちゃんも上手だけど「物語を回す」のが上手だなぁって。
はい。ノアは自分が加わることで物語がどう転がっていくかが見えているみたいで、私が事前に考えていたお話の流れにピタッと合わせた状態で戻してくれるんです。あれだけは真似できそうにないなって。
「ハナちゃんはトリで。」みたいなところとかね。そう言われたら、花ちゃんは「なんで?」って言いやすくなるし、それを受けて説明のパートに入って、ノアちゃんから見た「ミャーさん一番喜ぶのハナちゃん」っていう固定観念も出しやすいもんね。そこに自信喪失してる花ちゃんが乗っかって、諭されて・・・みたいな。とにかく、物語を転がしていく力がずば抜けてると思う。
それに、なんというか。当たり前かもですけど、ノアはやさしいんですよ。「ふわっ」のところ、あれだけネガティブになってたら「パシッ」ってひっぱたかれてもおかしくないと思っていたので。でも、ノアを信じて擬音の選択はソフトなものにしました。
そこは即興の面白いところだよね。その擬音まで花ちゃんがすることで、その後の展開をどうしたいのかノアちゃんも分かる。そういうところを読み取って、合わせてくれてるんだろうね。ノアちゃん。
まぁ、その。お父さんもご存知のように、私たちわたてんメンバー内では「これだけは守る鉄則」があって、その中に「何があっても叩くなどの暴力はしないこと」というのがあるので。ノアも最初からソフトな対応に倒すつもりだったんだろうなとは思います。

──そういえば、過去に鉄則について教えていただきましたね。あれは多人数で物語の方向性を定める場合、非常に有用なものだと思いました。よく機能しているようですね。

さっきの、暴力は避けること。に加えて、全年齢対象の内容とすること(ちゅーはありますが)。鬱展開の話は作らないこと。原作からの固定のカップリングは崩さないこと。などが鉄則というか、掟ですね。
あと、実は、お父さんの書かれた「わたてにんぐ☆オペラ」のお話を読んでから追加した鉄則もあるんです。あとがきでお父さんが解説されていた「直接の否定の意は伝えないこと」です。「Aは言うけどBは言わない」っていう。

──おや、それを取り入れてくださって嬉しいです。詳細はオペラのあとがき参照としますが、軽く補足するなら「A:お姉さん気持ち悪いです。」「B:なのでもう会いません」という文脈のうちAだけを伝えてBは言わないようにするということですね。

はい。あのお父さんの分析はたぶん正解で、ななつ先生もそこは徹底しているように思えます。Aっていう個人の感想は素直に言うけど、それを受けてどうするか。というBまで言ってしまうとギクシャクしますもんね。

──まだまだ語り足りないとは思いますが、一旦ここまでとしましょうか。今回新たなコーナーとしてメイン記述者へのインタビューコーナーを設けてみましたが、いかがでしたでしょうか。

こういうの、ノアが好きそう。「ここに込めたこういう想いがあったんだー」って教えてくれると思います。ノアは本当、いろいろ考えてお話作っている子なので。
今日は花ちゃんのかわいいところがいっぱい見られて満足です。
お姉さん・・・。そんなことばっかり言ってると、しばらく一緒に寝てあげませんからね。
は、花ちゃーん! ごめんねぇ>ミ

──はは・・・。本日はどうもありがとうございました。このコーナーが好評であれば、次回以降も設けようと思いますのでよろしくお願いいたします。















■ ヴァラカスサーバのわたてんイルミネーションアート(クリスマス会での花さんとみやこさん) ■



ヴァラカスサーバ在住のまいちゃんさんは、生粋のイルミネーションアーティストです。
このところ、公演会の題材に応じたイルミネーションアートをヴァラカスサーバにて作ってくださっているようで、
今回もクリスマス会における花さんとみやこさんのプレゼントシーンを描いてくださいました。
今回のお話は確かにこのシーンが最高潮だったと思いますし、みなさんが思い描いた通りの情景ではないかと思います。
思わず写真に解説文を載せてしまいましたが、まいちゃんさんの再現度の高さに敬意を表したつもりでおります。



また、その「ゴシックロリータのメイド服」の完成度の高さに驚きました。
下はアニメ第1話「もにょっとした気持ち」より、件の「お二人にとっての始まりの服」を引用したものですが
レースのラインの入り方など、完成度が高すぎて見惚れてしまいますね。








ヴァラカスサーバにて、今回のメイン記述者であった白咲花さんと、お相手の星野みやこさんとで観賞されたようです。
作者のまいちゃんさんに、しっかり天使たちに見ていただけたことをご報告すべくこちらに掲載させていただきました。

素敵な作品、ありがとうございました。



おまけ。











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