アンヘル滝 : エンジェルフォール = 天使が舞い降りた
エンジェリック・インタビューにて乃愛さん夏音さんに語っていただいており、また当日現地にいらした保護者さまはその関連性にすぐお気づきになっていましたので、コラム化するか悩みましたが念の為記載しておきますね。
ゲーム内の猟師の村に位置する「アンヘル滝」ですが、こちらと同名の滝がリアルにも存在しています。ベネズエラのギアナ高地にあります「アンヘル滝」です。
「アンヘル滝なの? エンジェルフォールなの?」と混乱される方もいらっしゃるでしょうが、この2つの言葉は同じものを指しています。
<アンヘル滝>
「発見者であるジミー・エンジェル(James Angel)の滝」をスペイン語で表すと「Salto Angel」となり、この「Angel」部分を「アンヘル」と読みます。「Salto Angel=サルトゥ アンヘル」ということですね。
<エンジェルフォール>
「発見者であるジミー・エンジェル(James Angel)の滝」を英語で表すと「Angel Falls」となり、こちらはそのまま「エンジェルフォール」と読みます。
インタビューにて乃愛さんも触れていましたが、実はこの「Angel」は滝の発見者の人名であり「天使を意味するAngelではない」とされています。しかし、公演会終了後のご感想の場にて乃愛さんが「天使の滝=エンジェルフォール」「それに引っかけてー アンヘル滝:エンジェルフォール=天使が舞い降りた にしちゃおう!って」と、言葉そのものから受けるイメージから「エンジェル=天使が」「フォール(ダウン)=舞い降りる」というインスピレーションを働かせて場所と公演内容とをリンクしたものだと説明してくださいました。
「Fall」は滝のことでもあり、舞い降りるという動詞(Fall down)としても捉えることができます。このような言語分野での柔軟な発想力・構築力・応用力はさすが乃愛さん。わたプラにて日々鍛えていることが垣間見える会場選びとなりました。
キーアイテムとなる「ヘアピン」にまつわる、花さんみやこさんの深い考察について
本公演会においては、「みやこさんの誕生日プレゼントとして花さんが贈った一対のヘアピン」がキーアイテムとして登場します。まず、このヘアピンについてアニメより参考画像を。
「第10話 また余計なこと言っちゃった」より、みやこさんのヘアピン
このヘアピンに関しては、本公演会の4章に当たる「わたてんのなく頃に 貶者編」にて、花さんが詳細に描写してくださっていますのでそちらもご参照ください。
一部抜粋させていただきますと、「お姉さんはいつも臙脂色のヘアピンを上に、薄紫色のヘアピンを下につけていた」「薄紫色のが私で、臙脂色のがお姉さんで。二本がいつもセットってところに意味があったのに。」「あのヘアピンは「私とお姉さん」だったの。」との記載があります。配色、配置についてまさにアニメ版の「一対のヘアピン」のことを表していますね。
しかし、公演会的に重要なのは「このヘアピンの意味」について花さんが上記の通り深く掘り下げて自覚しているという点です。原作マンガおよびアニメにおいては、ヘアピンを贈った花さんも、受け取ったみやこさんも、どちらもこの「ヘアピンの意味」についてはっきりとは把握していません。唯一、上図の鏡に映ったみやこさんの「着けるとなんで恥ずかしくなっちゃうの……?」という自問のみ。明確な答えを出せないまま、みやこさんはこの直後に恥ずかしさからヘアピンを外してしまうのです。
つまり、原作マンガおよびアニメにおいては二人の絆という観点で非常に強固なこのヘアピンというキーアイテムについて、お互いに無自覚なままシュークリームを買いに行く二人きりのデート~プロポーズという重要なシーンにて装着されて進行します。
「第10話 また余計なこと言っちゃった」より、デートでのワンシーン
「第10話 また余計なこと言っちゃった」より、公園のベンチでのみやこさんのプロポーズシーン
この「お互いに無自覚なまま」という構図で、お二人の関係性を象徴する「もどかしさ」をうまく表現できていると思います。しかし、公演会における花さんはこの重要な点を看過することなく、しっかりと拾い上げて自らの「愛情のロジック」に組み込まれています。この点は非常に巧みで特筆すべき点であり、さすが「オリジナルの白咲花さん」だなと感嘆いたしました。
そもそもわたてんにおけるこのヘアピンの意味と象徴性について正確に理解できている視聴者がどれほどいらっしゃるのか不安になってしまうほどに、公式であるマンガおよびアニメはこの点をさらりと流してしまっています(気づけた人だけ「おおー……!」と思ってほしいということかもしれませんが)。それが作品としての狙い・伏線であるのかは分かりませんが、非常にもどかしいポイントです。幼い花さんが自覚できずとも、せめて大人であるみやこさん側が意味を察してあげてほしい。いちファンとして常々感じていたポイントでありました。
そのポイントを、言わば補完・救済してくださる形で花さんと、そして4章後半のみやこさんがこの点について自覚し理解している描写がありました。ある意味、もどかしさでもやもやとしていた私のようなファンを救済してくださったと言えるのではないかと思います。
(もっとも、みやこさんが自覚しているのは「ヘアピンについてのみ」であり、最終章においてもご自身並びに花さんの恋愛感情については天然というバランス感覚でしたが(苦笑))
松本姉妹の微笑ましい応酬
保護者さまのチャットログでは、みなさんある種辛辣とも取れる友奈さんの発言に親心からか心配されている様子が見てとれます。
しかしながら、千鶴さんの発言にありますようにここのご姉妹のやり取りは原作マンガで登場したやり取りの再現でした。以下に該当箇所を掲載しますので、公演会での友奈さんの発言と比較してみましょう。
原作9巻41ページ(71話) タイトル「出頭」
原作9巻42ページ ひとコマ漫画
<原作マンガ>
友奈さん:「おねぇはじしゅしないの?」
香子さん:「……ゆうが私のことどう思ってるのか話し合う必要があるわね」
友奈さん:「おねぇはちょっとへん でもゆうにはやさしいからすき」
<公演会>
友奈さん:「おねぇ、つかまる? これからじしゅするの?」
香子さん:「・・・ゆうが私のことどう思っているのか、もう一度話し合う必要がありそうね」
友奈さん:「おねぇはすごくへん。でも、ゆうにはやさしいからだいすき」
このように大まかな流れは変えずに原作踏襲とし、公演会では「過去にこの件で話し合ったことがある」という体で会話されていることが分かります(香子さんの「もう一度」にて)。また、それに応える形の友奈さんのセリフは「ちょっとへん」→「すごくへん」、「やさしいからすき」→「やさしいからだいすき」と、表現がスケールアップしていますね。
まさに千鶴さんのおっしゃる通り「単行本でのやり取りがレベルアップしている」シーンと言えるでしょう。