リスみたいでかわいい花さん
まずは花さんの「もぐもぐ語」から始まるこのパート。えてなさんが即座に解読されているように「うん。お姉さんに買ってもらったの」と比較的分かりやすい謎解きから始まっていますね。
本題はみやこさんのおっしゃる「リスみたい」というご感想。実はこちらも原作漫画からの引用となります。
原作9巻85ページ(74話) タイトル「頬いっぱい」
1コマ目にありますように、みなさんで動物園に行った際「自分を動物に例えると?」といった話題で出てきたものとなります。
公演会において花さんが何かを召し上がっている時は、その花さんの食品に対する全身全霊の、類稀なる描写が素晴らしいことから花さんの一人称で描き出されることが多いですね。その為、あまり第三者からの視点で花さんが召し上がっているシーンが描かれることが少ないのでどのような様子で食べているのかは想像にお任せという形となっています。しかしながら今回は、「もぐもぐ語」も相まって恐らく頬いっぱいにポップコーンを詰め込まれているであろうと直感でき、そしてそれはまさしくかわいいリスのようなお姿なのであろうと容易に想像することができるようになっていますね。
ここの例えで「風船みたい」といった他の言葉ではなく、原作踏襲も意識した「リスみたい」という言葉をビシッと決め込んできたみやこさんもまた素晴らしいと思います。
花さんがお菓子を差し出す、ということ。
こちらの「花さんがお菓子を第三者に分け与える」という動きにつきまして、多くの方が驚愕されていました。お名前と共に列挙させていただきますと……
<公演会のチャットにて>
絵笛さん :!?
絵笛さん :は、はなちゃんがお菓子を人に・・・だと・・・
星野千鶴さん :よっぽど感謝してるのね。ヘアピンのこと
絵笛さん :1割どころか半分も!
<インタビューにて>
星野ひなたさん:はなが甘いものを分けるなんてすごいことだ!
姫坂乃愛さん :ハナちゃんがお菓子を誰かにあげるなんてビックリω
星野みやこさん:あの花ちゃんが・・・。成長したんだなって
みなさんのお気持ち、非常によく分かります。それだけ、花さんのこの行為の重みづけは大きいということでしょう。
実はこの「花さんがお菓子を与える」という行為が功を奏した原作シーンがあります。
原作5巻16ページ(37話) タイトル「誰が何をくれるかが重要」
原作5巻17ページ(37話) タイトル「誰がために」
軽く状況を説明しますと、アニメ最終回にもありました5年生時の文化祭の準備と当日の生徒たちとのふれあいで頑張りすぎたみやこさん。「1年分はがんばったから当分ダラダラする」と自宅でだらけきっていました。「今日のオヤツはなんですか?」と問う花さんに対しても「めんどくさいから今日はなしー コスも新しい衣装ないから今日はいいや」と気のない返事。花さんはみやこさんのお菓子が食べられないことに危機感を感じ、一刻も早く元に戻そうと奮闘している最中のシーンとなります。
ちなみに、この後は乃愛さんのトリックスターな活躍によりみやこさんを奮い立たせることに成功し、めでたくお菓子を食べられることとなりました。
このように、ともすれば原作において「軽めの重みづけ」として描かれる機微を丁寧に拾い上げ、それを活用することで「ああ、これ以上なく友奈さんに感謝しているのですね」と観客に強烈な印象を与えることに成功した花さん。原作を熟知していなくとも、これまでの公演会での花さんの様子からこの重みづけは保護者さま全員が理解するところであり、即ちそれは普段からの行動すべてが純度の高い原作踏襲であることの証左であろうと考えられます。
友だちを思いやる、聖母夏音さんの心情。
インタビューにおいて、小依さんが
でも、ここのかのもとってもよかったわよ? お姉さんに「どうしたの?」って聞かれたけど、ぜんぶ分かってるかのは言わなかったでしょ
とおっしゃっていた箇所となります。インタビューにて夏音さんの気持ちも語られていますので悩みましたが、もう少し深堀りをしておきたいと思います。
ここでの夏音さんは、以下のような考えを巡らせていたと思われます。
・私たちの保護者であるみやこおねぇさんから「どうしたの?」と聞かれてる。事情を知ってる私はちゃんと伝えないと。でも・・・
・でも、ひなたちゃんがばんそうこうを受け取ってみんなから見えない遠くに行ったってことは、秘密にしておきたいんだろうな。
・みやこおねぇさんも、妹のひなたちゃんのことすごく心配してたし、探しに行こうとしてたから、本当のことを伝えて安心してもらわないと。でも・・・
・うぅ、胸が痛むけど、すぐに戻ってくるのは確かだと思うから、それだけみやこおねぇさんに伝えよう。
非常に夏音さんらしい、お友だちの事情まで深く汲み取った上で双方が傷付かない物言いができるという、ただよい子というだけでなく、まさに聖母のような思想を如何なく発揮した如才ない夏音さんの名シーンであると言えるでしょう。