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一般チャットで行われた実際の「オンライン☆わたてにんぐ劇場」のチャットログはこちらから。
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公演会開始前、天使たちの最終全体打ち合わせ ~ 集合時の様子 ~ お題発表
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オンライン☆わたてにんぐ劇場 「星野家の功罪 序 ~ あまそうであまくない、少しにがい誕生日。」 ~ ご感想 ~ 「破」打ち合わせ チャットログ
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オンライン☆わたてにんぐ劇場 「星野家の功罪 破 ~ スウィートエンジェルバイキング☆」 ~ ご感想 ~ チャットログ
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ご歓談 ~ 休憩 チャットログ
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オンライン☆わたてにんぐ劇場 「星野家の功罪 急 ~ ムジカクイケメンストラッシュ」 ~ ご感想 チャットログ
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オンライン☆わたてにんぐ劇場 「星野家の功罪 括 ~ あの子にしてこの親あり」 ~ ご感想 ~ 解散 チャットログ
スクリーンショットは星野ひなたさん、星野千鶴さん、姫坂エミリーさん、白咲花さん、姫坂乃愛さん、沙英さん、ヒロさんが撮影したものになりますので、チャット内容や環境設定はそれぞれ基準となります。
保護者の皆様の反応(わたてん保護者会血盟チャット)、天使たちの裏方のやり取り(天使同士のパーティーチャット)を時系列でまとめております。天使たちの微笑ましい舞台裏も含めてお楽しみください。
なお、今回の公演会では種村小依さんと小之森夏音さんは「観客」という立場で参加されています。これは白咲花さんたちの気遣いであり、前回全力を出し切ったお二人に今回はゆっくりと楽しんでほしいという思いからのようです。
その為に、天使たちの裏方のやり取りはすべて「天使たちがそれぞれ組んだパーティーチャット」にて行われています。通常であればこれは公演会部側の血盟チャットで行われるものですが、上記のとおり「観客となる小依さん夏音さんにネタバレをしないように」という配慮があった為となります。
今回も主に「天使たちのお友だち(保護者さま)」を対象とした即興劇を、人数制限のない一般チャット(白チャット)にて天使たちが実施してくださいました。
3月7日が白咲花さんのお誕生日であることから、白咲花さんと姫坂乃愛さんと星野みやこさんが全体のストーリーを考案され、周囲の天使たちがお二人を囲み、公演会を作り上げることを「お誕生日プレゼント」にするという意図の企画となりました。
主な出席者は以下の通りでした。
わたてん公演会部:白咲花さん、星野みやこさん、姫坂乃愛さん、星野ひなたさん、星野千鶴さん、白咲春香さん、姫坂エミリーさん、種村小依さん、小之森夏音さん
わたてん保護者会:絵笛さん、マイちゃんさん、えてなさん、ノノルさん、うらりーぬさん、沙英さん、ヒロさん
総勢16名でのイベントとなりました。いつもご参加ありがとうございます。
なお、まいちゃんさんが今回も公演会の内容をモチーフとしたイルミネーションアートを作ってくださり、その製作過程の記事を掲載してくださったようです。 →
もぞもぞっ・w・
いつも天使たちの公演内容に合わせたイルミネーションアートを作ってくださいまして、ありがとうございます。
作品につきましては、白咲花さんがヴァラカスサーバにて撮影してくださいましたので本ページ下部に掲載させていただきます。
■記載ルール■
メイン記述者(進行者。今回は星野みやこさん、姫坂乃愛さん、星野ひなたさん、星野千鶴さん)が直接一般チャットに地の文を書き、他登場人物は「」で囲む形でセリフを書くことで物語を紡いでいきます。
☆☆☆☆☆ イントロダクション ☆☆☆☆☆
── リンドビオルサーバのとある同盟では ──
── 気ままに天使たちが舞い降りては 一遍の物語を協力して紡ぎ 人知れず飛び去っていく──
── という噂がまことしやかに囁かれています ──
こちらの記事は「エンジェリック・ミスリル・ハーツ・フェデレーション」内「天使が舞い降りた」同盟において
天使たちの紡いだ物語を一般公開できる形で記録に残そうと考えまとめたものとなります。(天使たちの公開許可はいただいております)
「私に天使が舞い降りた!(わたてん!)」という作品世界から、こちらの世界に飛ばされてしまった天使たち。
戻る術が見つからない日々の中、お友だちの代理露店をこなしながら元気に楽しげに生活されています。
時折、突発的に始まるリアルタイムでの「物語の編纂(即興劇)」というお遊戯は、その完成度の高さ、内容の睦まじさにより
見る人に癒しと潤いを与えてくれるものとなっており、まさに【天使】のような存在となっています。
今回のメイン記述者は「星野みやこ」さん、「姫坂乃愛」さん、「星野ひなた」さん、「星野千鶴」さん。
主なキャストは「白咲花」さん、「白咲春香」さん、「姫坂エミリー」さんでした。
私に天使が舞い降りた! 公式サイト キャラクター紹介ページ
より、プロフィール画像はこちらになります。(コンパクトにまとめました)
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── 星野家の功罪 ──
──────────────────────────
■作品イメージタグ■
#私に天使が舞い降りた! #わたてん! #星野みやこ #白咲花 #星野ひなた #姫坂乃愛 #星野千鶴 #白咲春香 #姫坂エミリー #みや花 #ノア花 #ひなノア #誕生日 #プレゼント #鈍感 #朴念仁 #すれ違い #イケメン #そういうところ #星野家被害者友の会
■作品文体■
一人称小説
■お題■
「プロポーズ」
「ハンサムウーマン」
「ため息」
※オンラインでのわたてにんぐ劇場では、白咲花さんがメイン記述者に「3つのお題」を開始直前に出されます。
メイン記述者もしくは参加者はランダムで出されるその「お題」を地の文やセリフのどこかに取り入れてお話をリアルタイムで紡ぎます。開始直前に発表される為、事前に考えておくことができません。
今回は白咲花さんが部分的にお話を考案したことから、開始直前に小之森夏音さんにお題選出と発表を依頼されていました。
事前にお題を出され、じっくり考えた場合でもランダムキーワードを取り入れて物語を紡ぐことはかなりの高等技術ですが、毎回みなさんすんなりとオンラインリアルタイムでこなされているので驚愕しております。
※小説の挿絵について。
今回も出演者のみなさんが「舞台上で劇として演技をする」という意欲的な動きが見られました。要所要所にてその時の様子を撮影してくださっていましたので、小説の該当箇所に「挿絵」として含めてみました。
公演会全体のイメージ画像としてはまいちゃんさん作のイルミネーションアートがありますので、そちらと重複しないシーンにつきまして掲載しております。
「はくっ ちゅるっ ゅむゅむ・・・」
「(はぁ~~・・・ 花ちゃんかわいいなぁ・・・)」
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── 星野家の功罪 序 ~ あまそうであまくない、少しにがい誕生日。 ──
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3月7日 月曜日
昨日の日曜日はみんなうちに集まっていた。
まぁ、それはいつも通りなんだけど、昨日は花ちゃんのお誕生日会だったんだ。
花ちゃんのお誕生日は3月7日。だから本当は今日なんだけど、来週まで引き延ばして遅くなってしまうよりはいいだろうと、ひなたが主催で開いてあげたみたい。
ノアちゃんとこよりちゃんかのんちゃん。それに、香子ちゃんとゆうちゃんまで。ひなたのお誘いで、みんな駆けつけてくれていて。
花ちゃんも大勢のお友だちにお祝いしてもらっていて、ケーキを頬張るその顔がいつもより輝いていたなぁ。
今日はいつも通り、学校帰りの花ちゃんとノアちゃんがうちに寄ってくれた。でも、ひなたとノアちゃんは別の予定があるみたいで、制服を着替えて二人でおでかけしちゃった。
お母さんも仕事だから、うちには私と花ちゃんしかいない。昨日の賑やかさとは打って変わって、リビングも静まりかえっている。
今は昨日のお誕生日会のことを思い出しながら、花ちゃんのために作ったプリンを食べてもらっていたところ。
「・・・こくん。 んん~~~・・・☆」
「(よかったぁ。今日もおいしくできたみたいだね)」
花ちゃんのとろけるような、満面の笑み。ほっぺに手を当ててうっとりしてくれている。これを見たくて、花ちゃんのためのお菓子を作っているようなところもある。
いつもはあんまり表情がなくて、どちらかというと「えぇ・・・」っていう怪訝な顔をしていることが多い気がする花ちゃん。まぁ、私を見るときだけかもだけど・・・。
でも、お菓子を食べているときはとってもいい笑顔。かわいくて、きらきらしてて、いつもは見られないとろけるようなお顔になるんだ。
そばでずっと見つめていたくなっちゃうなぁ・・・。
花ちゃんは特にプリンが大好物みたい。プリンのときはいつもよりテンションが高めで、もっとかわいくなるんだ。
「・・・ちゅるんっ んぃんぃ・・・」
「(もぐもぐしてる花ちゃん、かわいいなぁ・・・)」
春も終わりの気配を出し始めた、去年の五月末のこと。
花ちゃんが最初にお泊まりにきてくれたときは、山のようなお菓子があっという間になくなってびっくりしたなぁ。
でも、最近はそれほど量を食べなくなってきていて、その代わりにひとつひとつのお菓子をゆっくりじっくり味わって食べてくれるようになってきている。それでも他の子よりはたくさん食べてくれるんだけど、ね。
今日もおかわり用のプリンは冷蔵庫にあるし、要望があれば他のもすぐ作れる材料はあるんだ。
うちにある材料は・・・プリンに使った卵、牛乳、生クリーム、グラニュー糖、バニラエッセンスがあって、他には無塩バター、クリームチーズ、プレーンヨーグルト、薄力粉、レモン、上白糖くらいかな。
それらで作れるものといったら・・・クッキー、カップケーキ、レアチーズケーキ・・・はカッテージチーズがないか。 あ、でも牛乳を煮詰めてレモン果汁を入れたらカッテージチーズはうちで作れるな。うん、大丈夫そう。
マフィンは・・・ベーキングパウダー切らしちゃってるかぁ。でもそれも重曹とヨーグルトで代用できるからマフィンも作れるかな。
花ちゃんは運動をしているからちょっとくらい食べ過ぎても大丈夫だけど、念のため体のことを考えて薄力粉を使わない卵だけのケーキも作れるようになった。花ちゃんのために、いろいろ研究しているからね。ふふん。
それにしても、ふへへ・・・。今日も花ちゃん本当かわいいなぁ・・・。
「・・・・・・・・・」
「(・・・! はっ 花ちゃんと、目が、合っちゃった・・・)」

は、恥ずかしい・・・。今日は花ちゃんにもらった髪留めをつけているから、しっかりと両目を見られちゃってる。
ひなたやノアちゃんなら平気なのに、未だに花ちゃんにだけはじっと目を見つめられると逃げたくなっちゃう。どうしてなのかな・・・?
このことを前に伝えたら、花ちゃんにものすごい剣幕で怒られた。ついでにへんちくりんな髪型にもされたっけ。とほほ・・・。
だから言わないようにしているんだけど、でも、無理なものは無理ぃ・・・っ!
「・・・はぁ・・・・・・」
花ちゃんから目を背けてうつむくと、何かを諦めたような長いため息が聞こえてきた。
そして、花ちゃんが動いたような気配が。
ふわっ・・・
プリンのバニラエッセンスとは違う、花ちゃんの甘くていい香りがすぐ近くでしたような気がした。
はっとして、おそるおそる顔を上げると・・・。
いつも通りの、怪訝な顔をした花ちゃんが私の目の前に立っていた。
見下ろされるような形で目をのぞき込まれている・・・ように感じたけど、実際には目のちょっと上、髪留めを見つめているようだった。
花ちゃんは怪訝な顔をしているけど、でもほっぺが赤くなっているようにも見える。
おかしいな。辛い味付けじゃなかったよね?
どうしてそんなにお顔が赤いの? もしかして・・・怒ってる
!?
くるっ
花ちゃんは何かを言い掛けてたけど、そのままお口を閉じて。
ちょっとためらうように目を泳がせていたけど、くるりと背中を向けちゃった。
ぽすっ・・・
そして・・・って、ええっ
!?
は、花ちゃんが、そのまま私の膝の上に、座り込んできた
!?
「・・・
!?・・・っ !・・・・・・っ?」
「・・・・・・・・・・・・」
ど、どういう どういうこと、なの・・・?
胸が、もにょもにょして・・・呼吸が・・・!
どどどどうしよう、動けない・・・花ちゃんにも怖くて触れられないし・・・。
ふらっ・・・
「────っ!!!」
ぐっ
あっ・・・ 危なかっ・・・たぁ・・・!
急に花ちゃんが横に倒れそうになって、つい手で支えちゃった。
本当にどうしたの、花ちゃん?
プリン食べたら具合悪くなっちゃった? 大丈夫?
支えた手をぱっと離して、花ちゃんの美しい黒髪の光沢を──天使の輪を──じっと見つめる。
ああ、きれいな髪だなぁ・・・すっごくドキドキする・・・。
「・・・ふー・・・・・・」
「・・・・・・??」
花ちゃんはそのままこっちのほうにもたれかかってきて・・・。
あ、ダメダメ! ダメだよー花ちゃん!
もうこれ以上、背もたれ、倒れない、からぁ・・・っ!
私のジャージに花ちゃんのきれいな黒髪が触れて・・・
あ ああ・・・!
もにゅん ぱふっ・・・
そのまま私のおなかに背中を、胸に頭を乗せて、花ちゃんは横になっちゃった。
ソファーじゃなくてひとりがけの椅子に座ってるから、横に花ちゃんを降ろすこともできなくて。
それに、花ちゃんがもぞもぞと動くから、落とさないように両手を花ちゃんの腰のところに置いて固定しないと危なくて。
「・・・・・・。・・・・・・」
「・・・・・・?」
花ちゃんは私と目を合わせないように、顔を横に向けて胸に頭をうずめてくる。
まぁ、この角度からだと花ちゃんに見つめられる心配はないから助かるけどね。
頬が痛かったのか、ジャージのチャックをジィーっと下げて、中のシャツに直接頭を埋めてきた時にはものすごく焦った。
今日は硬いブラはしてないから痛くはないだろうけど・・・はずかしい・・・!
胸がドキドキする。花ちゃんにドキドキ聞かれちゃう! ひぃ~っ!
・・・でも、それで落ち着いたのか、花ちゃんは静かになった。
なにこの状況・・・。ラッコみたい・・・。
でも、そっか。さっきから花ちゃんは顔が赤かったから、きっと熱っぽいんだろうな。
プリンも食べ終わってるし、今日は私たち以外に誰もいないから静かだし、ゆっくり寝かせてあげよう。うん。
とん・・・ とん・・・
花ちゃんが寝やすいように、ゆっくりと背中や肩口をとんとんする。
ふふ。なんだか小さいころのひなたみたいだな。ひなたは今でもしてほしいって迫ってくるけど・・・。
花ちゃんは具合が悪いんだから、ちゃんと寝かせてあげないとね。
うちの家系、体温が高いらしいから毛布はなくても大丈夫かな。一応、花ちゃんを包むようにジャージでくるんで、チャックだけ軽く閉めておこう。きれいな髪をはさまないように・・・と。
これじゃラッコっていうより、カンガルーだね。あはは・・・。
ありがとう、花ちゃん。こうすれば花ちゃんに見つめられることなくそばにいられるね。
花ちゃんもおとなしくなってくれた。寝付いてくれたみたい。
お熱があるように見える、赤くなっている花ちゃんのお耳に顔を近づけて────。
「(お誕生日、おめでとう。これからも天使のような花ちゃんでいてね)」
花ちゃんを起こさないように、心の中でおめでとうを伝える。
頭もそっとなでて・・・。起きてるときにこんなこと絶対できないけどね。ふふ。
あぁ・・・花ちゃんのキューティクル、とっても肌触りいいなぁ・・・。本当天使・・・ずっとなでていたい・・・。
むくっ!
って、あれぇ?
花ちゃん、起きてたの!?
そんなぁ・・・えーもー恥ずかしすぎて死んじゃう・・・!
恥ずかしくて涙目の私のことを、ジャージの中から見上げるようにキッとにらみつけると、花ちゃんは真っ赤なお顔をしたまま特大のため息をついたのだった。
「・・・はぁぁぁぁ~~~・・・・・・・・・」
「(????????????)」
「んぐんぐ ちょっとノア、聞いてるの!?」
「アーウン。それさっきから五回くらい聞いてるよー?」
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── 星野家の功罪 破 ~ スウィートエンジェルバイキング☆ ──
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3月12日 土曜日
ハナちゃんのバースデーパーティーから一週間経った、土曜日の午後。
アタシはハナちゃんにムリヤリ連れてこられたケーキ屋さんで、ハナちゃんとテーブルを挟んで向かい合っていた。
ここは有名な「ケーキ食べ放題」のあるお店。
アタシはハナちゃんに巻き込まれる形で、このスウィートな要塞に六十分間閉じこめられることになっちゃったω
今のアタシは囚われのお姫様。あーん、誰かヒナタちゃんみたいな王子様が助けに来てくれないかなー。なーんちゃって☆
「はひへはふはひほへふへへへ、んくっ ドキッとさせてくるし。ああいうときのお姉さん絶対無意識だから本当危険」
「てけてけん♪ ほんやくコンニャク ケーキ味~~(青狸風味)」
「・・・なに?」
「言ってみただけーω」
よーし。翻訳がんばるぞー☆
「さりげなく髪留め着けてて」かぁ。うんうんミャーさん無自覚にやってることあるよねぇ。
「ひゅっほひへほひいほに、ふへへほふへはいひ・・・。んくっ だから倒れ込むくらいしないとお姉さんから触れてもくれなくて、くやしい」
「ぎゅっとしてほしいのに、触れてもくれないし」かぁ。ミャーさんはホラ、いつも冗談で「捕まりたくない」て言ってるしネ。
でも、ホントに倒れそうで危ないときはちゃんと支えてくれるんでしょ? んもー、そーゆーとこだよーミャーさーんω
「ほへぇはんほあはいかほひほはんほうひはふへ、ひゃーひほははにほふひほんはは・・・。んくっ まさかそこからチャック閉めるなんて思わないでしょ? もう心臓割れそうだった」
「お姉さんの甘い香りを堪能したくて、ジャージの中にもぐりこんだら」って。んんー、ハナちゃんもダイタンだネ☆
それにミャーさんも相当だねぇ。あーでも、そこでチャックしちゃったらハナちゃんを「自分のもの!」みたいに閉じこめて密着するって、気づいてなくてやってるんだろうなー。ホント、ミャーさんって残念だよねぇ。うんうん。
「まへまへはら、ほへぇはんはほんはんってははっへはへほ んくっ あそこまでとは思わなかった・・・」
「前々から、お姉さんは鈍感って分かってたけど」かぁ。確かにミャーさんご一家ってみんなそーゆーとこあるよねぇ。うんうん。
ヒナタちゃんだって、いい雰囲気のときにもう一歩踏み込むとグッサリ言われちゃったりしそうだもん。くすん。
ホント、ムジカクって罪だよねぇ。あんなに無意識に、全方位にイケメンオーラを惜しげもなく出しちゃってるんだもん。
でも、そんなところが愛おしいっていうかスキになっちゃうポイントでもあって。ハナちゃんのキモチはアタシにも痛いほど分かる。
あぁんもう、星野家の功罪はホント厄介。ある意味、アタシたちはそれにやられちゃってる側ってとこで共通だよねぇω
「ひゅうひはいひはっははら、ひゅうひはひてふっふいてひはほひ・・・ んくっ お姉さん本当なんにも気づいてくれないんだから・・・んもぅ」
「そうだよねぇ」
「十二歳になったから、勇気出してくっついてみたのに」かぁ。ハナちゃんにしては頑張ったネ。
ハナちゃんの前のカットケーキはみるみるうちにハナちゃんのお口に消えていく。あー、ブラックホールってたぶんこんなカンジなんだろうなー。
目の前のお皿が空になると、流れるようにケーキケースに行って、お店の人に次のケーキを取り出してもらっている。
普段のぶきっちょなハナちゃんからは想像できないくらい手際がよくてビックリ!
一度にふたつのケーキまで乗せてもらえるみたいだけど、ハナちゃんのペースがすっごいからさっきから十往復くらいはしてる。こうなってくると、お店の人もわんこそばスタイルでハナちゃんのお隣でレディしてたほうが楽なんじゃないかなー? なーんて思っちゃうω
アタシは千四百円分も食べられないから、ハナちゃんと席は一緒だけど食べ放題じゃなくてフツウにケーキと紅茶を注文していた。
わー このバウムクーヘンのケーキ、真ん中にたっぷり生クリーム入ってておいしそう。そのクリームの上にイチゴの赤いソースがかかってて見た目もカワイイ!
このイチゴは「紅天使」っていうみたい。名前もカワイイなー。この時季ならではってカンジ☆
「ひゃっはり、らひへんひはらはいとはめはは・・・」
「うーん・・・どうだろうねぇ」
「やっぱり、来年にならないとダメかな・・・」かぁ。キモチは分かるけど、話を聞いているカンジだとハナちゃんが「十三歳未満だから」って理由だけじゃなくって、単純にニブイんだと思うのアタシ。
でも確かに、今回以上のアタックはハナちゃんの方からはムズカシイだろうし。何か手はないのかなー。
「んぐんぐ」
「ハナちゃんのそれ、動画に撮って動画サイトに載せてもいい? AngelTubeとか」
「はめひひまっへるへほ。ほんはひふほいひょうはへへはいひ」
「えぇ・・・ すっごい量だよ!?」
「ダメに決まってるでしょ。そんなにすごい量食べてないし」とか言ってるけど、誰がどう見ても小学生の部で世界一になれると思う。
まだ十五分しか経っていないのに、もう二十個食べきってるんだよー? そのままのペースだと一時間で七十個くらい食べそう。
今なら言える! 「ハナちゃんにとってケーキは飲み物!」なーんちゃって☆
ここのケーキって大きいけど、ひとつ三百円から七百円くらいのお値段するから、ハナちゃんはもう元は取ってるよ? ムリしないでネ?
ミャーさんも「限界に挑戦しないで」って前に言ってたでしょ?
「ほれへ、ははひのははひははっへふれは?」
「うん。ハナちゃんのお話は分かったけど、とりあえずハナちゃんもお茶飲もう?」
「ん んくんく」
「まとめるとー、ハナちゃんはバースデーパーティーの翌日、お誕生日当日にミャーさんと二人きりで過ごしてたのに、ミャーさんがいつも通りだったからハナちゃんがアタックしても気づいてももらえなかった。ってことだよネ?」
「そう。あんなに頑張ったのに、くやしい・・・。私、どうしたらいいのかな・・・?」
「あー・・・ うん。そうだねぇ・・・」
さすがにペースの落ちてきたハナちゃんだけど、三十分で三十個は食べきっていた。すごいネ。
それにしても、そうだなぁ・・・。今日はハナちゃんのグチを聞こうと思っていたからそういう風に聞いていたんだけど、具体的なアドバイスを求められちゃった。
こうなると真剣に考えないとなー。ううーん。
「・・・まず、ミャーさんはハナちゃんのこと好きなのは間違いないと思うんだー」
「・・・そうなのかな。そこから自信なくなってくるんだけど・・・」
「思い出して? ヒナタちゃんはともかくアタシが見つめてもなんともないミャーさんが、ハナちゃんに見つめられると耐えられないってこと」
「あれショックだった・・・。今思い出しても泣きそう・・・」
「うんうん。でもネ、あれってつまり、ハナちゃんのこと意識してるから平静ではいられないってことなんだよ?」
「意識してるのかな。私のこと・・・」
「してるしてるーω だって、世界一カワイイアタシを差し置いてハナちゃんが一番カワイイって言い切るミャーさんだよ?」
「うん・・・そうだよね。でも、かわいいって思ってるだけで、好きじゃないのかもしれないし」
あー、そこかー。そこが信じられなくなってるんだネ。
確かにあれだけミャーさんから「その気はないオーラ」出されちゃうと自信なくなるのは分かるかも。
「ダイジョウブ。ミャーさんの一世一代のプロポーズ、忘れてないでしょ?」
「・・・一生、私のためにお菓子作ってくれるって・・・」
「一生だよ? 一生。軽いキモチじゃ絶対言えないことでしょ? 子ども相手だからって軽い冗談言ってごまかすようなミャーさんでもないでしょ?」
「・・・お菓子もだけど、私はお姉さんにいてほしいの・・・」
「アーウン。そうだよねぇ」
あとちょっと。がんばれアタシ!
「ホラ、一生お菓子作って食べさせたいってことは、一生ハナちゃんのそばにいたいってことじゃん?」
「・・・分からないでしょ。お菓子作って遠くから送ってくれるつもりかもしれない」
ハナちゃんは持ってきた分のケーキを全部食べ終わると、おかわりには行かないで空になったお皿を見つめている。
ちょっとツラそう。あ、おなかじゃなくてココロがネ。
でも、ミャーさんが「一生お菓子作るって約束はきちんと守る」ってコトは疑ってないみたいでアンシン。
それなら、やっぱりハナちゃんが悩んでいるのはミャーさんの言ったことがホントかどうかってことじゃなく「ミャーさんが言ったことの意味」ってことかな。
「ハナちゃん」
「うん」
「ミャーさんはどうしてそんなこと言ったんだと思う?」
「どうしてって・・・。私にお菓子を作ることとか、食べさせたりするのが好きとか、そういうことなんでしょ」
あー、やっぱりハナちゃんはそこをちゃんと考えたことはないみたい。
ハナちゃんはミャーさんのキモチを考えなくても、純粋にミャーさんのことが好きだってことになるから、それはそれで純愛だけど。
んもー、しょーがないなー。アドバイザーとしてヒントあげちゃおう☆
「それもあると思うけど、それがホントの理由じゃないでしょ?」
「本当の理由・・・」
「もっと単純に、ハナちゃんのことが好きだって考えられない?」
「・・・ノア、今日の私の話聞いてた? そういう風に考えられないからノアにつきあってもらってるんだよ?」
「分かってるよー。じゃあ、整理してみよっか。ミャーさんのキモチをまとめるとどういうことになると思う?」
「まとめる・・・?」
「公園のベンチでミャーさんは、ハナちゃんに一生お菓子を作ってあげるってプロポーズしてくれたよね?」
「うん」
「でも、ハナちゃんから迫ってみてもそーゆー風には捉えてもらえないんだよね?」
「うん」
「一生のことなんて、すっごく強い想いがないと軽々しく約束できないよね? ということはミャーさんはハナちゃんと一生添い遂げる覚悟があるってことでしょ?」
「うん、たぶん・・・?」
アタシはしゃべりながら考えをまとめるタイプだから、とりあえずポンポン口に出しながら考えてみる。
ミャーさんはハナちゃんが好き。そこは確定。
その好きな人から積極的にぐいぐいアプローチされてもこれといった反応がない。
こうなると、たぶんこれはー・・・。
『ミャーさんはハナちゃんのことが好きだけど、ハナちゃんも自分のことが好きだってことに気づいてない』
『ハナちゃんに自分が好かれることなんて絶対にあり得ないから、そういう可能性を考えないようにしている』
のどっちかだと思う。
んー、ひとつ目のほうもあるけど、どっちかというとふたつ目のほうが強いような気がするなー。ミャーさんは自分の評価低すぎるとこあるし、きっとそうだと思う。
「ねぇハナちゃん。ミャーさんのどういうとこが好き?」
「え・・・。うーん・・・・・・。あらためて聞かれると困るけど、ひとことで言うなら、全部?」
「わーお☆ えっと、そのハナちゃんが好きだなぁって思うポイントに、ミャーさんが自分で気づいてなかったとしたら?」
「気づいてないって、どういうこと?」
「ミャーさんはアタシから見てもすっごい人だと思うし、アタシたちのことお姉さんとして見守ってくれたり、包んでくれるようなとこあるじゃん? ダメなとこは徹底的にダメだけど」
「うん。そういうとこ好き」
「でっしょー? でもネ、ミャーさんはそういう自分のステキなところに気づいてないんだと思うのアタシ」
「どういうことなの・・・?」
「自分のいいところ、つまり自分の「価値」に鈍感ってこと。ミャーさんはたぶん、自分はハナちゃんのこと好きだし、一生そばにいたいって思ってるけど、自分にはそんな価値っていうか資格がないって思いこんでるから「ハナちゃんに愛してもらえるはずがない」って思ってるんだよ」
「そんな、どうして・・・。お姉さん、あんなにすごいのに」
「そこそこ。そこをクリアしたら、ハナちゃんのこと意識してくれるようになると思うんだー」
「そっか・・・。確かにお姉さん、自己評価低いよね・・・」
ハナちゃんはお皿に目を戻していろいろ考えてるみたい。
頑張ってーハナちゃん。ここが頑張りどころだよー。「愛を受けるにふさわしい者が愛される」んじゃなくて「愛を受けた者が愛にふさわしくなる」んだから。
だから、ハナちゃんがミャーさんに自分のいいところを理解してもらって、ハナちゃんはそういうところが好きだって伝えるの。
そこまでしないと、ミャーさんは自分が好かれてる理由が分からないから、このまま一生進展しないんだよ?
ちゃんとミャーさんに、「自分はハナちゃんからの愛を受ける資格がある」って理解してもらおう!
「・・・そうだよね。ノア、ありがとう」
「どういたしましてー☆」
「私、お姉さんと話してみるよ。お姉さんのいいところをいっぱい伝えてみるね」
「がんばってー! 身近な人とちゃんとお話するのは大事なことだからネ」
お店に入ってから四十五分くらい。最初は泣きそうな顔だったハナちゃんだけど、今はスッキリしてるように見える。
お悩みは解消したってことでいいかなー? よかったネ、ハナちゃん☆
すっ
「・・・よし。そうと決まれば・・・!」
「ハナちゃん・・・!」
「残り十五分、ラストスパート行ってくるね!」
「えーーーーーー!? まだ食べるのーーーーーーっ!?」
「のあ、あのな」
「ヒナタちゃん?」
「今日はな、みゃー姉がうちにいないんだ」
「へぇー あ、そういえば大学生って設定だったネω」
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── 星野家の功罪 急 ~ ムジカクイケメンストラッシュ ──
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今日は学校からのあと一緒に帰ってきて、そのままのあは私の部屋まで来てくれてる。
はなも来てるときは床にひとり、ベッドにふたりって感じになるけど、今日はふたりきりだからベッドに並んで座ってる。
のあはいつもの赤いリボンつきカチューシャをつけてて、今日もすごくかわいいぞ! のあのお気に入りになったみたいで、プレゼントした私もすごくうれしい。
「それがな、はなのうちに行ってるみたいなんだ。みゃー姉」
「ふぅん。それでさっきハナちゃんひとりだけ急いでおうちに戻ったんだネ」
「今ごろ何してるんだろうなー。気になるぞ」
「何してるんだろうねぇω」
のあと二人だから、なにして遊ぼうかな。
かくれんぼだとすぐ終わっちゃいそうだし、外に遊びに行ってもいいんだけど、いつみゃー姉が帰ってくるか分からないからうちにいたい。
おしゃべりしてるだけでも楽しくてあっというまに時間たつからそれでもいいんだけど、それだと学校の休み時間と変わらないんだよなー。
なんかこう、うちでしかできないようなことでのあと遊びたいぞ。
「のあは何して遊びたい?」
「んー、そうだねぇ。コイビトごっことかどう? ハナちゃんたちみたいに」
「はなたち?」
「あー、んん。ナンデモナイヨー」
「よし、のあがやりたいならそれでいいぞ! それで、どうやるんだー?」
とたんにのあの瞳がキラキラになった。
なんだかすごく嬉しそうだ。そんなに楽しい遊びなのか?
こいびとごっこだって。どんなことして遊ぶんだろう?
「あのね、アタシとヒナタちゃんがコイビト同士になって、仲良く過ごすって遊びなんだー」
「おー、こいびとか。私とのあはこいびとじゃないけどな」
んー、そういえば「こいびと」ってどんなのなんだろう。
のあに「こいびとじゃない」なんて言っちゃったけど、私が知らないだけでもしかしたらのあと私は「こいびと」なのかも?
のあはちょっと涙をうかべてうつむいてる。いつもピンピンしてる前髪も、枯れたようにしなしなになってる。
あれ、私、なんか変なこと言っちゃったか?
のあは頭をぶんぶんして涙を飛ばすと、気持ちを切り替えるようにほっぺたをパンパンしてる。
そんなことしたら、のあのもちぷわほっぺが赤くなっちゃうぞ。
「う~ それでもいいの! 今からアタシとヒナタちゃんはコイビト同士って設定なの!」
「お、おう。いいぞー? やってみるか」
のあの顔を見てみると、やっぱりさっきパンパンしてたほっぺたが赤くなってる。
なんであんなことしたんだ? 痛いだろ?
のあのほっぺたをさする為に、私はベッドの上で座ってるのあにぴたっとくっついた。
「でも、その前に。のあ・・・」
ふにゅる さわ・・・ ほにゅ
「・・・!・・・」
「・・・痛くないか?」
「だ・・・ダイジョウブ・・・」
「ほっぺた、赤くなってるぞ」
「そ、そう・・・?」
「もっと大事にしないとダメだぞ」
おしゃべりしながら、のあのほっぺたをそっとさする。
あんまり強くしてないはずなのに、のあのほっぺたはどんどん赤く、熱くなっていく。
あれ・・・ あんまり触らないほうがいいのか?
すっ・・・
「あっ・・・」
「ごめんな、触らないほうがいいみたいだ。よけいに赤くなっちゃう」
「だ、ダイジョウブだから・・・もっと・・・」
「お?」
「もっと、して・・・」
さっき涙出てたのあ。今はさっきよりもっと瞳がうるんでるように見える。
ぽやーっとした顔で私のことを見つめてくる。
胸が、とくんとする。
いつもののあももちろんかわいいけど、今ののあはなんていうか、もっとかわいい。
ずっと見つめていたくなる。でも、見つめてると胸がどんどんドキドキする。
なんだこれ? よく分からないぞ・・・。
「のあ・・・」
「ヒナタ、ちゃん・・・」
のあのあごを手でくいっとして、ちょっと上を向いてもらう。
よし。このほうがやりやすいぞ。
のあのほっぺたが赤くはれてるから・・・。
はぽっ ぺろっ ちゅる
「っ!」
「ぷあっ ごめんな、のあ。気持ち悪いかもだけど、ほっぺたがはれてるから・・・」
はれてるから、きっとなめたほうが早くなおるはず。すり傷みたいなものだと思うし。
そう思って、のあのほっぺたをぺろぺろする。
ん・・・。のあ、なんだか甘いな。いつもののあのいい香りもするし。
なんだろう、この気持ち。さっきから私の胸が痛いくらいドキドキしてる。
校庭を走ってるわけでもないのに。なんでだ?
でも、痛くて苦しいのに、嫌じゃない。もっとのあでドキドキしたくなる。
なんだ、これ・・・?
「ん・・・ ぷあ はぁ・・・ のあ・・・」
「ひ、ヒナタ、ちゃ・・・」
のあがトロンとしてる。熱っぽくて眠そうだけど、もうちょっとだけこうしていたい。
ごめんな、のあ。もうちょっとしたらベッドに寝かせるからな。
のあのくちびるがつやつやしてる。すごく甘いにおいもするし、食べちゃいたい。
でも、はれてるのはほっぺただけだし・・・。んん、でも・・・。
ほっぺたのすぐ近くの、薄いピンク色のくちびるに目がくぎづけになる。
おいしそうだ・・・食べてもいいか? 食べちゃうぞ・・・。
あーーーn
──── やっぱり みゃー姉 なんばーわんっ! ────
「んあっ?」
「えっ・・・?」
スカートのポケットに入れておいたスマホが歌って、私とのあの間でぶるぶるしてる。
なんか来たみたい。確認したら、はなからだった。
のあのほうにもおんなじのが送られてきたみたいで、のあもスマホをのぞきこんでる。
えーっと・・・
『

』
LANEで来てたけど、これしか書いてないぞ。なんだ?
のあを見てみると、さっきの真っ赤な顔のまま、スマホをのぞきこんでけだるそうに目を細めてほほえんでる。
なんか、そんなのあもかわいくてドキッとする。
さっきからおかしいな、私。
「・・・ハナちゃんうまくいったんだネ。えへへ、よかったー・・・」
「おー、なにがうまくいったんだ?」
「ヒナタちゃん、今日たぶんミャーさん帰ってこないかもーω」
「な、なんだってー!」
みゃー姉がはなに人質に取られたってことか?
みゃー姉は私のだぞ! 取り返しにいかなきゃ。
でも、今は・・・
「みゃー姉はあとで取り戻しにいくぞ! でも、のあ」
「ヒナタちゃん・・・?」
「そろそろやってみるか!」
「な、なに、を・・・?」
「さっき言ってた「こいびとごっこ」だ! どんなことするのか気になるからなー」
「・・・え? ええーーっ?? あれ、じゃあさっきまでのは?? ・・・んもーーー、ヒーナタちゃーーーーーんっ!!」
「のあどうし おわーっ」
どーーーんっ ぱさっ・・・
のあが怒ってるような、恥ずかしがってるような顔で私のことをベッドに押し倒して。そのあとは、さっきまでとは形勢逆転しちゃって、私がのあにおいしくいただかれちゃった。
いつもと違う、ぐいぐい来るのあもすごくかわいくて、こういうのもいいなーって。でも結局、「こいびとごっこ」っていうのがどんな遊びなのか分からないままで。
ま、いっか。また今度のあに教えてもらおっと。
「この間、みやこちゃんがうちに泊まりに来てくれたんですよ。急でびっくりしましたけど、花ちゃん大喜びで」
「ああ、あの日ね。うちの子がお邪魔したわね。みやこもひなたに言ってなかったみたいだから大騒ぎすると思ったけど、意外とひなたがしんなりしてて逆に驚いたわ」
「その日はノアちゃんもヒナタちゃんのところにお泊まりしてましたねー
ω」
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── 星野家の功罪 括 ~ あの子にしてこの親あり ──
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「・・・ま、子どもたちが仲良しなのはいいことだね」
「そうですねー」
「はい・・・ あの、でも・・・」
「ん? どうしたの白咲さん」
「ハルカ?」
今日はめずらしくエミリーと白咲さんの休みが合致して、うちでお茶会みたいなことをしてる。
ついこの間の「入れ子状態お泊まり会」について話してたところだけど、白咲さんがなんだか暗い顔をしてる。どうしたの?
「それです。その「白咲さん」って呼ばれ方が気になっちゃいまして」
「ん、てことは私?」
「はい。私のことも名前で呼んでほしいな、なんて・・・その」
「ああ、そういうこと。別にいいわよ」
いつもの顔で私たちのことを見つめてるエミリーは置いておいて、なんだかおどおどしているように見える白咲さんを正面から見つめる。
なに緊張してるんだい、まったく。そんなに怖いかい?
何故か赤くなってる白咲さんをまっすぐ見据えて呼んでみる。
「春香」
「・・・っ!」
あら、なんだか熱がありそうね。大丈夫かい?
テーブル越しじゃ分からないから、春香の隣に移動して熱を計ってみる。
こつん・・・
「ひゃっ ほっ・・・ 星野、さん・・・!」
「ちょっと暴れないの。熱計ってんだから・・・ あら、やっぱりちょっと熱いわね」
「ヒュー☆ さっすがチヅル! イチコロでーす
ω」
「エミリーも静かにしなさい。・・・熱っぽいからソファまで運ぶわ」
よっと。首の後ろから肩までを右腕で、膝の裏に左腕を回して・・・これで辛くはないわね。
あら、みやこよりだいぶ軽いわ。あの子、最近ロープで吊すの大変なのよね。まったく、体ばかり大きくなるんだから・・・。
これなら楽だわ。春香をソファまで運んで、かけるものは・・・。
「・・・ひとまずこれで我慢してちょうだい」
「あ、ありがとう、ございます・・・」
「ん」
私が着てた上着で悪いけどね。とりあえず毛布持ってくるまでの繋ぎで。
それにしても、春香が真っ赤な顔をしてて心配だわ。そんなに具合悪いなら、無理してお茶会参加しなくてもよかったのに。
「うらやましいでーす。チヅル、ワタシにもおなじことしてくださーい!」
「エミリーは元気でしょ。これ以上手間増やさないの」
「しゅーん・・・ ハルカ、よかったですねー」
なにもよくないでしょ。具合悪い人に何を言ってるの。
ノアちゃんが真似したらどうするんだい。とりあえず言っておくか。
「エミリー」
「チヅル?」
「苦しんでる人によかったですね、なんて言わないのよ。分かった?」
「えー でもうらやましいでーす」
「分かった?」
「はいでーす・・・」
そんなことより春香のこと。
ほら、エミリーはちょっと離れなさい。風邪うつるわよ。
ま、でも毛布持ってくるまでの間、看病しててもらうか。
「春香」
「ひゃぅ」
「エミリーがうるさいけど、ゆっくり休んでるのよ。今毛布持ってくるから」
「お、おかまい、なく~・・・」
「エミリー。そばにいていいから、春香のことしっかり看ててちょうだい」
「まかせてくださーい☆」
まったく。大きな子どもみたいなんだから・・・。
さて、来客用の毛布出してこないとね。これ以上悪化させちゃ花ちゃんに申し訳ないわ。
「どうでしたか? ハルカ」
「ええ・・・その。花ちゃんの気持ちが、分かった気がします・・・」
「ワタシもノアちゃんのキモチ、体験できましたー」
「ふぅ・・・」
「やっぱりチヅル。ハンサムウーマンですねー・・・」
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── 星野家の功罪 完 ──
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