DOSANの妻、という人。(番外編) 聖夜の、奇跡。



これは、祖父と孫娘の物語―――


時は今から35年前。

ある事件をきっかけにして、祖父は息子夫婦を亡くし、孫娘は両親を亡くしてしまいます。

意志が強ければ蘇生してもらうことが可能なこの世界で

5歳になったばかりの娘と、高齢な父を残したまま

彼らは還らぬ人となりました。

生命という尊い財産を放棄した彼らは、ドワーフ村のすべての人たちから蔑まれ・・・

いつしか、彼らが残した幼い娘と高齢な父も同じ目で見られるようになりました。



そして、35年後の現在。

祖父は自分ひとりが生き永らえていることに罪悪感を感じ

孫娘がしたように、大切な人の為に命を賭すことを夢見るようになりました。



これは、そんな祖父と孫娘の物語―――。




Page:1

「クリスマス、か・・・ この時期になると、色々と思い出すのぉ・・・」

爺やは35年前の幸せなひとときを思い出しています。

あの頃は息子夫婦も健在であり、幼い孫娘も一緒にいました。

でも、今は・・・。







Page:2

それは、35年前のクリスマスの記憶。







Page:3

「おじいちゃんは、あたしに人として大切なことを教えてくれたのよ」

「あたしがこうなったのは、自分の意志で望んだから。おじいちゃんのせいじゃないの」

「だから、もう悲しい顔で自分を責めないで・・・」







Page:4

「これからもおじいちゃんにしかできないことを続けてほしいの」

「あの子に「どのように生きていくべきか」を見せてあげて」







Page:5

カンパニュラの花・・・

あの時墓地に持って行ったけれど、どうしても両親には手向けられなかった

花言葉が、ね・・・

おじいちゃんには一輪じゃ足りないくらいの思いを込めて、あたしからプレゼント



ありがとう、おじいちゃん・・・







■ あとがき ■

DOSANです。

年間を通して、季節を感じるイベントの際には物語を製作することが恒例となって
きておりますが、今年も幸いなことにこの忙しい時期にまとまった時間をとることが
できまして、2007年度版クリスマス番外編を完成させることができました。

去年のものもそうでしたが、DOSAN家ではクリスマスをただ楽しいだけのイベント
として捉えておりません。

「自分を見つめなおし、過去と対面する」

その為のきっかけとして「聖なる夜」というシチュエーションが最適と考えられる為、
私と爺や、そして娘はそれぞれ大なり小なり自分を見つめなおす時間を設けるように
しております。

今回のお話は、爺やが過去の記憶と対面することがテーマとなっており、
「記憶の中の孫娘」の姿を借りて私の妻が爺やの元に現れる、という
普段は起こりえない奇跡として描いています。

おかげさまで、爺やは少し心が軽くなったようですが・・・
それにしても、後ろ向きな考えに過ぎるような気がしますね(苦笑)
不定愁訴という訳でもないのでしょうが、年をとると色々とある
ということなのでしょうね・・・







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