DOSANの妻、という人。クリスマス番外編 遠い日の、記憶。そして・・・
DOSANは妻のことを思い出しています。
出会った頃から、彼女が消えてしまうその日のことまでを。
あの時、妻を止めていれば歴史が変わったかもしれない―――。
後悔してもしきれない。
娘が健気に明るく振舞えば振舞うほど、彼は胸が張り裂けそうになってしまうのです。
これは、そんな親子の物語―――。
■ あとがき ■
この物語を紡ぐ者 DOSAN
Page:1
妻よ・・・
君と話せる島で出会ってから、色々なことがありましたね。
あの頃は私もまだ若く、教会の中で君に告白したり
君が悪夢にうなされたあの夜、互いの想いを確かめあったりしましたね。
君の力になりたいと思いながらも、どの職業なら君の助けになるのか分からず
君に相談したこともありました。
そして、あの日。
君が、その存在もろとも消えてしまう前日に、あの手紙が届いたのですよね。
「話せる島の、歌う滝で会いたいんですって」
妙に嬉しそうだった君が、とても印象的でした。
Page:2
話せる島を中心に発生したあのまばゆい光は、全世界をあまねく照らし・・・
次の瞬間には「君」に関する記憶がすべての人から喪われてしまいました。
人は歴史の一部となり、多くの人々の記憶の中で生き続けることがありますが、
それとはまったく逆のことが起きてしまったのです。
あの時、私が君を止めていたならば、今のこの歴史は変わったかもしれません。
そう思うと、自責の念に押しつぶされそうになってしまうのです。
すまない、娘・・・。お母さんに逢いたいという願いを叶えてやれなかったね・・・
「ううん。違うよ」
「え・・・?」
「今年のお願いは、【みんなが笑顔でいられますように】だよぉ^^
だからお父さんもそんなに泣かないで。元気だしてね!^^」
・・・もしサンタクロースがいるのなら
片親で寂しい思いばかりしてきたはずのこの子が
こんなにあたたかい子に育ってくれたことについて感謝したいと思う。
ありがとう、サンタクロース。
そして、いつもありがとう。私たちの娘・・・
DOSANです。
昨年の今頃はとてもお仕事が忙しい上に体調不良も重なりまして、あまり物語製作に時間を割くことができませんでした。全2ページとボリュームが少なめなのはその為です。
DOSAN家ではクリスマスを
「自分を見つめなおし、過去と対面する」
為の機会として捉えておりますが、2006年度からの3つの物語にてDOSAN家メンバーそれぞれの思いを感じていただけたのではと思います。
2006年度では娘が抱く母への思いと、母の娘への思いを。
2007年度では爺やが抱く孫娘(DOSANの妻)への罪の意識を。
2008年度ではDOSANの「妻を止められなかった」という後悔の念を。
こう見ますと、シリアスに過ぎる感じがしますが・・・ これがDOSAN家のクリスマスの過ごし方となっております。
それではここで、いくつか出てきました回想シーンの時間軸についてまとめてみます。
最初の「進路相談」は、例の月夜の晩のあとの出来事になります。ひと月くらい経った頃でしょうか・・・。
次の「手紙」のシーンはずっと後、娘が産まれて一年程経った頃です。自分の妻が、誰とも知れない(もしかしたら不倫相手の男性かもしれない)人物と会いに行くというのに、DOSANは妻を止めませんでした。それは、例え他の男性と会うとしても、妻の自由を奪いたくないというDOSANなりのやさしさからくるものだったのですが・・・ 彼はその判断により、その後ずっと自責の念に苦しむことになってしまうのでした。
それにしても・・・
娘が本当にお願いしようとしていたことは、なんだったのでしょうね。やはり「お母さんに会いたい」だったのでしょうかね・・・
・・・といったような、想像の余地を随所に残しつつ、これからも物語を作り続けて参ります。
物語製作のペースがかなりゆっくりになってきておりますが、今後ともお付き合いのほどをお願いいたします。