DOSANの妻、という人。(番外編) DOSANの娘のほわいとでー 2008




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「お母さん、あのね・・・」



自分の声は届いていないかもしれない。

ヒトリゴトだっていいんだもん。

そう思いながらも、母への想いは止まりません。



「お母さん、あのね・・・」



バレンタインデーはうまくいったはずなのに

どうしてかなぁ? 心がさびしさでいっぱいだよぉ・・・



一方で、娘の言葉を情報として捉えることしかできない母。

直接声を聞くことも、抱きしめることもできず

「ここ」から見つめていることしかできない。

そんな自分は「母」と呼んでもらう資格がない・・・



母娘共に、それぞれの悲しみを抱えながら

お互いのことを想うのでした。





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「人である以上、常に笑顔という訳にもいかないだろう」

「泣きたい時は、泣くといい。私は素直なお前が大好きだよ」



わたしはお父さんの娘。いつも笑顔でいなくっちゃ。

そう思い、いつしか無理をしていた娘。

しかし、父親の一言で緊張がほぐれていくのでした。



「ふふっ なんだか気が抜けちゃったよぉ・・・」

「そうか。それは良かった。 そうそう、ホワイトデーの贈り物を・・・」



あれだけ悲しかったはずの心が、すっかり軽くなった娘。

いつの間にか、いつもの笑顔を取り戻し

いつもの親子の会話が織り成されていくのでした。





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「お父さんって、フシギな人だよね」

「いつも頼りない感じなのに、こーゆー時だけ・・・ なんかヘンな感じだよね」

悲しさ(SADNESS)でいっぱいだった心も

今では嬉しさ(HAPPINESS)でいっぱいに。



「お母さん、ありがとう。」

「自分のこと、責めちゃダメだよぉ?」



そう。

本当に伝えたい言葉は「ごめんなさい」ではなく「ありがとう」

彼女がそのことに気付くことができたのは

娘の一途な思慕の念のおかげなのかもしれません。



この世界のどこかにいる

少しだけ切ない

ある家族のホワイトデーの物語でした。









■ あとがき ■

父です。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。
いつも私の家族の物語にお付き合いいただいて、感謝しております。

お気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、このホワイトデーの番外編は
どことなく 2008年のファンフィクションの物語 に雰囲気が似ております。
これは製作時期が重なったということもありますが、そもそもDOSAN家の物語は
「楽しく明るい面だけではなく、特殊な事情を抱えたある家族の様々な面を描く物語」
として製作しておりますので、自然とこのような形に収束する傾向があるのです。
時にはドタバタした動きの激しい物語になることもありますが、基本的には
それぞれの人物の内面を描く静的で静謐なものになるよう注力しております。

バレンタインデーからホワイトデーへと続く一連のお話で、製作者として
お伝えしたかったことはいくつもあるのですが・・・
お読みいただいたみなさんが、何かしら感じたり考えたりしたことがあるならば、
それが私からのメッセージであるとお考えください。

また、いくつかの謎も散りばめております。
これらは今後本編にてひとつずつ明らかになって参りますので、
今後ともDOSAN家の物語にごゆっくりお付き合いいただけますと幸いです

この物語を紡ぐ者 DOSAN





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