ようこそ検証部屋へ。ゆっくりしていってくれ。
かなり長い話になる。椅子にでも座って、リラックスして読んでくれ。
このページではリネージュ2におけるダメージ計算式について記述する。興味のある者は参考にしてほしい。
データを取得した時期はエピソディオンアップデート直前の、2013年11月23日。その為、現在のダメージ計算式とは合致しない可能性もあることを先に断っておく。
なおここで取り扱う武器は俺がローグということもあり短剣のみとなる。その他の武器を自在に振り回せるティールなど他職の者にはあまり興味のない記事になるだろう。
※以下のグラフや記事は、横幅1600ピクセルで作成している。画面解像度にもよるが、最大化して参照すると見やすいだろう。
※なお、このページのグラフは「Google Charts」というツールで表示されるようにしている。javaの機能を使用するので、このページを参照する時は有効にしてほしい。
目次
1.はじめに
2.被験者紹介
3.計測方法詳細とフルノーマル状態でのダメージ計測結果
4.クリティカルダメージオプション付与時のダメージ計測結果
5.クリティカルダメージオプション+属性300(風)付与時のダメージ計測結果
6.今回の検証結果を踏まえた結論
1.はじめに
応用数学を用いた仕事に就いてはいるが、計算自体はあまり得意ではない俺が何故このようなページを作る気になったかを書いておこう。
以前のイベントで大量にばら撒かれたS80グレード最上位武器。俺は当然のようにマンバエッジを手中に収めていた。だがこれは単体攻撃力こそSグレード最強ではあるが、その当時は既に+15イカルスディスパーサーopフォーカス風300をメイン武器としていた為にあまり魅力的には映らなかった。マンバエッジのデザインはCグレードのダークスクリーマーに通じる素直さがあり、俺の好みではあったがフォーカスも付けられない短剣に火力を求めてはいけないと思っていたというのが正直なところだった。
そもそも俺のような短剣職が火力議論をするのであれば、まずは二刀短剣を持てと言われる。同じ攻撃速度であれば打撃回数が2倍になり、1発は弱いがそれぞれにクリティカルヒットの可能性が発生する為時間単位の火力としては二刀短剣が最大になるからだ。だが俺は「ブローは回って撃つもの」という信念の元、レベル81を超えてからもずっと短剣1本でやってきた。そして覚醒した今も、これから先もそうあり続けるだろう。野良PTでその点を指摘された時の為に、飾り程度のRグレード二刀短剣は持っておこうとは思うが…。
話が逸れたが、そんな俺がマンバエッジに興味を持ったのは最近のことだった。とあるリネージュ2情報サイトを読んでいたところ
【+16マンバエッジopクリダメと+8祝福されたヘリオスシェイパーのブローダメージはどちらが強いのか】
という記事を見かけたのだ。当然ながら基本攻撃力の高いヘリオスシェイパーが圧勝するだろう。折りしも最近のアップデートでブローダメージには素の攻撃力(つまりSTR)がダメージ計算に大きく影響を及ぼすようになった為、そもそも議論の余地はないはずだ。そう思ったが、トピックとしてそういう記事が挙げられているという事実が気にかかり、その議論の内容に目を通してみた。結果、なるほど本国の短剣使いが熱くなるのも分かるような気がしたのだ。
その理由は、マンバエッジに付与できる「クリティカルダメージ」というオプションだ。数値は+1060であり、これはヘリオスシェイパーを+4以上にオーバーエンチャントした際に付くクリティカルダメージの数値(+844)よりも大きいのだ。はたしてクリティカルダメージアップの効果がブローダメージにも乗るのかどうか。その時の俺は理解できていなかったが、その後様々なサイトを巡り妥当と思われるブローダメージ計算式を見つけた。そしてそれは、クリティカルダメージアップ分もダメージ計算に含まれる式になっていたのだ。
これは検証すべきだと思った。そして、覚醒後ローグの物理クリティカル数値がフォーカスopがなくとも400を超えている現状もあり、その火力が期待できるものであるならイカルスからマンバに乗り換えることも検討しよう。そう思って今回のダメージ検証実験を開始したのだった。
2.被験者紹介
挨拶が遅くなったが、俺の名は「ミスリルの光刃」という。短剣職をメインとするダークエルフだ。よろしく頼む。俺をはじめ本件に関与しているメンバーはテオンサーバでミスリル・リンクという血盟を運営している。創立から8年を越えた老舗の血盟ではあるが、隊員のログイン率はテオン屈指の低さだ。みなそれぞれのペースでまったりと楽しむことを信条としており、個性豊かでほんわかとした隊員たちだ。遭遇率は低いと思うが、ワールド内で「み」という派手な旗を見かけたら遊んでやってくれ。
基本的に短剣を使用するのはうちでは俺だけの為、俺が装備して検証すれば事足りる。だが、短剣職はダガーマスタリーや素の状態でもクリティカルダメージが上昇するパッシブスキルを持っている。純粋な武器オプションによるクリティカルダメージ上昇量が分かりにくくなるという考えから、今回は俺だけでなくダガーマスタリーを持たないエアロカーディナルとイースハイエロファントでも検証を行った。
被験者1:レベル90のエアロカーディナル。(ミスリルの救世主)
染料:WIT+5
ステータス:STR38 DEX27 CON41 INT93 WIT83(+5) MEN78
パッシブスキル:グランドマジックウェポンマスタリー 攻撃力+82
装備品:マンバエッジ(片手)のみ。防具・アクセサリ・シャツ・アガシオン・ブレスレット・ベルトなどすべて解除。
攻撃力:775
補助魔法:なし
被験者2:レベル87のイースハイエロファント。(DOSAN)
染料:なし
ステータス:STR102 DEX55 CON82 INT39 WIT39 MEN38
パッシブスキル:ウェポンマスタリーLv42 攻撃力+79.4
※DOSANのウェポンマスタリーは特殊な為、最後のまとめで記載する。
装備品:マンバエッジ(片手)のみ。防具・アクセサリ・シャツ・アガシオン・ブレスレット・ベルトなどすべて解除。
攻撃力:1633
補助魔法:なし
被験者3:レベル87のオーセルゴーストハンター。(俺)
染料:なし
ステータス:STR106 DEX56 CON77 INT42 WIT39 MEN35
パッシブスキル一覧
・グランドダガーマスタリー :攻撃力+344
・グランドクリティカルマスタリー :クリティカル攻撃威力+539
・グランドクリティカルパワー :クリティカルダメージ+5%
・マキシマムクリティカル :クリティカル攻撃威力+609
・種族スキル シャープネス :物理クリティカルダメージ+1%
装備品:マンバエッジ(片手)のみ。防具・アクセサリ・シャツ・アガシオン・ブレスレット・ベルトなどすべて解除。
攻撃力:1462
補助魔法:なし
では、実際にこれらのメンバーで実測したダメージを以下にグラフと共に記載していこう。
3.計測方法詳細とフルノーマル状態でのダメージ計測結果
ゴダード城の村の大聖堂内には、「訓練用カカシ」という無限のHPを持つ標的がある。今回はこれをダメージ計測NPCとして使用した。
正面から50回、背面から50回。それぞれ通常攻撃とクリティカルダメージを計測した(どこが背面になるのかは「シャドーチェイス」を使用して確認した)。また、俺についてはブロースキルである「リバース」を使用したブローダメージ計測を正面・背面それぞれ100回ずつ行っている。すべてにおいてソウルショットは使用していない。
なお、短剣の状態を3段階用意し、その各段階で上記のダメージ計測を実施している。これは非常に大変だった。疲れた…。
3段階というのは以下の状態を指している。
・フルノーマル状態のマンバエッジ
・クリティカルダメージオプションを付与したマンバエッジ
・クリティカルダメージオプションを付与し、風属性300を付与したマンバエッジ
強化値はすべて+0の状態の為、攻撃力自体はどの断面でも変わらない。クリティカルダメージオプションと属性によるダメージ差を体感する為にこのような段階を用意した。
なお、このページで出てくる数値はすべて小数点2桁まで記載している。小数点3桁目を四捨五入している為、多少の誤差はあるかもしれない。
では、早速グラフを見ていこう。
フルノーマル状態のマンバエッジを装備し、訓練用カカシに対して与えたミキの平均ダメージは以下の通り。
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フルノーマル状態のマンバエッジを装備し、訓練用カカシに対して与えたDOSANの平均ダメージは以下の通り。
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フルノーマル状態のマンバエッジを装備し、訓練用カカシに対して与えた俺の平均ダメージは以下の通り。
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フルノーマル状態のマンバエッジを装備し、訓練用カカシに対して与えた俺の平均ブローダメージは以下の通り。使用したスキルは「リバースLv1(スキル攻撃力:26320)」
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4.クリティカルダメージオプション付与時のダメージ計測結果
ここでは2パターン目である「クリティカルダメージオプションを付与したマンバエッジ」を使用したダメージ計測結果を記載する。
ミキとDOSAN、俺の3人で正面から50回、背面から50回。それぞれ通常攻撃とクリティカルダメージを計測するという方法は同じだ。俺についてはブロースキルである「リバース」を使用したブローダメージ計測を正面・背面それぞれ100回ずつ行っているのも同様。すべてにおいてソウルショットは使用していない。
※ちなみに通常ダメージについてはクリティカルダメージオプションの有無で変わりない為、この項では割愛する。
では、早速グラフを見ていこう。
クリティカルダメージオプションを付与したマンバエッジを装備し、訓練用カカシに対して与えたミキの平均ダメージは以下の通り。
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クリティカルダメージオプション付与したマンバエッジを装備し、訓練用カカシに対して与えたDOSANの平均ダメージは以下の通り。
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クリティカルダメージオプションを付与したマンバエッジを装備し、訓練用カカシに対して与えた俺の平均ダメージは以下の通り。
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クリティカルダメージオプションを付与したマンバエッジを装備し、訓練用カカシに対して与えた俺の平均ブローダメージは以下の通り。使用したスキルは「リバースLv1(スキル攻撃力:26320)」
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5.クリティカルダメージオプション+属性300(風)付与時のダメージ計測結果
最後に3パターン目である「クリティカルダメージオプション+属性300(風)を付与したマンバエッジ」を使用したダメージ計測結果を記載する。
ミキとDOSAN、俺の3人で正面から50回、背面から50回。それぞれ通常攻撃とクリティカルダメージを計測するという方法は同じだ。俺についてはブロースキルである「リバース」を使用したブローダメージ計測を正面・背面それぞれ100回ずつ行っているのも同様。すべてにおいてソウルショットは使用していない。
属性による追加ダメージは通常ダメージにも適用される為、この項ではすべて記載する。
では、早速グラフを見ていこう。
クリティカルダメージオプションと属性を付与したマンバエッジを装備し、訓練用カカシに対して与えたミキの平均ダメージは以下の通り。
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クリティカルダメージオプションと属性を付与したマンバエッジを装備し、訓練用カカシに対して与えたDOSANの平均ダメージは以下の通り。
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クリティカルダメージオプションと属性を付与したマンバエッジを装備し、訓練用カカシに対して与えた俺の平均ダメージは以下の通り。
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クリティカルダメージオプションと属性を付与したマンバエッジを装備し、訓練用カカシに対して与えた俺の平均ブローダメージは以下の通り。使用したスキルは「リバースLv1(スキル攻撃力:26320)」
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6.今回の検証結果を踏まえた結論
それでは以下に、今回の検証の結果を踏まえた結論を記載する。
・「クリティカルダメージオプションの数値×70÷相手の防御力」がクリティカルダメージオプションで最終的に与えるダメージ増加量となる。
単純にダメージが数値分上乗せされる訳ではなく、攻撃力が数値分上乗せされる訳でもなく、もちろん武器単体の攻撃力に上乗せされる訳でもないことが分かった。
今回のマンバエッジに関していえば、1060という数値は74200の攻撃力に相当するものであり(1060×70)、それを相手の防御力で割った値(カカシであれば506.35となる為、146.54)が与ダメージとして増えることになる。
・マスタリー残しイースハイエロファントは意外と強い。
クリティカルを除いて、通常攻撃であればDOSAN圧勝ということが分かった。DOSANのパッシブスキルである「ウェポンマスタリー」については様々なサイトで語られているが、要約すると
「前衛のくせに後衛のパッシブを持っている」
ということが物議を醸している。
前衛のダメージ計算式:1.085×STR係数×レベル係数×武器攻撃力+武器マスタリー
後衛のダメージ計算式:1.450×STR係数×レベル係数×武器攻撃力+武器マスタリー
元々のリネージュ2の設計として、後衛の方が素の攻撃力は高く設定されている。これは素手で与えるダメージが後衛の方が大きいと気づいた者は昔から理解していることだが、正確な数値にすると上記の式になる。俺は傲慢の塔での布染めの際に、素手の後衛の与えるダメージが前衛のそれより大きいことで気がついた。
前衛としてのパッシブを取るしかない他のイースエンチャンターと比べて、DOSANの方が単純攻撃力が数割高いのは後衛としてのパッシブであるウェポンマスタリーを残している為だ。その代わり、攻撃速度は前衛としてのパッシブを取ったイースエンチャンターの方が速い。このことから、同じレベルで同じ条件なら純アタッカーである俺よりもDOSANの方が一撃の火力が高いということになる。まぁ、これは仕方ないな。クリティカルが発生すれば俺の方が強いしな。フン。
・武器を強化するなら、属性を最優先に。
すぐ上で述べているが、武器に関していえばオーバーエンチャントよりも確実に火力が上がる属性強化を優先すべきだ。だがこれも相手の防御属性値によって変わる為、狩場によってはその限りではない。
属性強化 → オプション付与 → オーバーエンチャント
といった順で強化するのがいいのかもしれない。もちろん、同時にすべてできるような富裕層ならすべて行うのがベストだ。
・ドワっ娘はかわいいが、重い。
いいか小娘。お前はドワーフであって、例え重量が40%であっても他の種族にとっては100%を軽く超えるんだぞ? これだからドワっ娘というものはまったく。スキンシップなら俺が乗る形に(ry
・武器の乗り換えについて。
結局俺は、この検証を機にイカルスディスパーサーからマンバエッジに乗り換えることにした。ハーフキル発生率はどの短剣でも変わらないだろうが、アタッカーとしては純粋に火力がほしいと思うからだ。それがたとえステータスの数値上の話であっても、強いことに越したことはない。先にも触れているように、俺は二刀短剣をメイン武器にする予定はないので当分の間はこのままで行くだろう。次の獲物はブラッディヘリオスシェイパーか、はたまたリンドビオルシェイパーか。予算的にどちらも当分無理だが、夢は大きく持っていたいものだ。
…実はこの検証の後、血盟の某隊員から素敵なプレゼントをいただいた。
なんでも、公式での勤労感謝イベントに乗じて盟主一家の一員である俺に普段からの感謝をしたかったとのこと。
そんな隊員を前に、こっそり画面の前で涙していたのは内緒にしておこう。
この話についてはいずれ別記事として掲載したい。
この長い記事を最後まで読んでくれた者に感謝したい。俺自身が長い間曖昧なままにしてきた「与ダメージ」というものについて一度整理したかったという思いからこの検証記事を作成したが、人の減りつつあるリネージュ2という世界における同志にとって少しでも役に立つ情報となれば本望だ。
もし記事の内容について不明な点や修正すべき点などあれば、気軽にミスリル・リンクHPトップの「コンテンツのご感想はこちらへ。」というお客様用BBSにでも書き込んでほしい。俺もあまり時間の取れない社会人プレイヤーだが、できる限りの対応はしたいと考えている。
この世界で同じ時間を過ごす同志たちに、これからもよりよい時間が訪れるよう祈っているよ。